【シンガポール】日系DEA、遠隔ゴミ分別ゲームで実証実験
シンガポールを本拠地とする日系ゲーム会社デジタル・エンターテインメント・アセット(DEA)は17日、人工知能(AI)を利用したシステム開発を手がけるリタテクノロジー(東京都新宿区)と共同開発した遠隔ごみ分別ゲームについて、廃棄物処理工場と連携した実証実験を開始すると発表した。 両社が共同開発した遠隔ごみ分別ゲーム「エコ・キャッチャー・バトル」は、AI搭載の自動選別ロボット「ウラノス(URANOS)」を活用。ゲーム内の操作に連動して遠隔地にある廃棄物処理工場のロボットが動き、実際にごみが分別される仕組みだ。プレーヤーはタブレット端末の画面上に流れるコンベヤーベルト上のごみをスワイプしながら分別し、獲得したポイントを競う。ゲーム専用アプリとして提供する。 世界的な課題である廃棄物処理で労働力不足を解消し、市民のごみ分別意識の向上、地域活性化に貢献する取り組みの一環。自動選別ロボットは、リタテクノロジーと破砕機メーカーのウエノテックス(新潟県上越市)が共同で開発した。 今回の発表に伴い、自動選別ロボットを導入している廃棄物処理工場と連携してエコ・キャッチャー・バトルをごみ分別業務の支援ツールとして活用する実証実験に着手する。まずはデジタル・エンターテインメント・アセットと提携する障害者施設の利用者に使ってもらい、障害者の就労を支援する。追加機能の開発や利用者層の拡大を視野に入れている。 遠隔ごみ分別ゲームを活用して教師データ(AIが機械学習で利用するデータ)も作成する。具体的には、人間がゲームを通じてリチウムイオン電池を含む廃棄物を選別することで、高精度なAI自動分析システムの開発を促す。 デジタル・エンターテインメント・アセットによると、現在はリチウムイオン電池が含まれる廃棄物を高精度で選別できるAIシステムは存在しない。遠隔ごみ分別ゲームが提供する「人間による選別データ」は、こうした課題を解決する鍵になると期待されている。 ゲーム内の「アノテーション・モード」から選別データを提供することで報酬が得られる「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」ゲームとしての展開も検討中だ。廃棄物の選別にとどまらず、水産業での魚の選別など新たな活用方法の検討も進める。 遠隔ごみ分別ゲームは、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「対内直接投資促進事業費補助金」で製造分野の案件に採択されている。