【Japan Data】「政倫審」とは何? 衆議院では過去9回開催
自民党の派閥による裏金事件をめぐり、政治倫理審査会(政倫審)が注目されている。衆議院と参議院にそれぞれ設置された機関だが、何をするところなのか?
政治倫理審査会(政倫審)は、衆参両院に設けられた機関で、衆院では25人、参院では15人の委員が与野党国会議員から選出される。衆院では過去に9回開催され、8人の議員が審査を受けた。参院は2月27日に初めて開催された。 衆院事務局によると、「政治倫理の確立のため、議員が『行為規範』その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任がある」かどうかを審査するために開催される。審査で責任が認められた場合は、議員に対して一定期間の登院自粛の勧告などが行われるが、議員辞職が勧告される規定はない。捜査機関による立件の有無にかかわらず審査の対象になることがある。
開催は、疑惑や問題を取りざたされた議員本人からの申し出のほか、委員の議決で決められる。国会の証人喚問は正当な理由なく出席を拒否したり、偽証すれば罪に問われるが、政倫審に応じる義務はなく、偽証の罪にも問われない。衆院の開催事例では、2009年に政治資金収支報告書への献金虚偽記載問題を問われた民主党(当時)の鳩山由紀夫代表が出席を拒んだ。これまでは議員の申し出による開催がほとんどで、委員の議決による開催は鳩山氏のケースのみ。 開催は原則非公開だが、当事者の議員の了承があれば他の国会議員や報道陣の傍聴が許される。過去に全面非公開だったのは、自民党の加藤紘一元幹事長が鉄骨加工会社から闇献金を受けた疑惑で開かれた事例だけだ。 2004年の日本歯科医師連盟(日歯連)から自民党旧橋本派への1億円闇献金事件では、橋本龍太郎元首相が政倫審に出席したが、野党からは証人喚問を求められていた。政倫審開催で世論の鎮静化を図ろうとすることもある。 政倫審は、田中角栄元首相がロッキード事件で1審有罪判決を受けたのを機に、1985年に衆参両院に設置された。