連載『lit!』第107回:吉田夜世、サツキ……2024年上半期にバズ曲を生み出したボカロP最新作4選
「混沌ブギ」jon-YAKITORY、「好きな惣菜発表ドラゴン」ンバヂの最新作も
■jon-YAKITORY「ハピネス オブ ザ デッド」 昨年8月の投稿からじわじわと人気に火がつき、2024年以降各種ストリーミングサービスを中心にさらなる知名度拡大を見せ、晴れて今年上半期のシーンを代表する1曲となった「混沌ブギ」。楽曲を手掛けたjon-YAKITORYはボカロP歴10年を越える歴戦のクリエイターの一人でもあるが、そんな彼のボカロ最新曲に当たるのが本作「ハピネス オブ ザ デッド」だ。 2023年夏放送のTVアニメ『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(MBS/TBS系)エンディングテーマにも起用された今曲。歌唱を担当するシユイの印象が強く、jon-YAKITORYが作詞曲担当だと知らなかったリスナーももしかしたら多いのかもしれない。音楽的同位体・可不(KAFU)のセルフカバーとなる今バージョンとシユイのテイストの聴き比べを楽しむのもまた一興だろう。 ■ンバヂ「座椅子のうた」 音数が多く複雑なサウンド構成、かつ美麗なイラストを用いたプロクオリティな映像が、いわゆる現代の“ボカロらしい”曲のスタンダードになりつつある。一方で昨年のゆこぴ「強風オールバック」を筆頭にミニマル志向な曲トレンドの機運も徐々に高まっており、その代表格として今年前半にブレイクしたのが「好きな惣菜発表ドラゴン」だ。 楽曲を手掛けたボカロP・ンバヂは、最新作「座椅子のうた」でも依然ミニマルな作風を貫いている。ンバヂの持ち味である普遍的でシュールなユーモアは、素人味のある作風ゆえに、より一際光る魅力として表れるのだろう。音楽のみに留まらないカルチャー素養を持つクリエイターだからこそなせた、非常に興味深いシーンバズの一例とも言える。 ※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/138348/2 ※2:https://realsound.jp/2024/05/post-1658765.html
曽我美なつめ