マユリカ中谷「初めて観たとき、“なんやこの気色悪い動画は!”って思いました」フェイクドキュメンタリーQ・寺内康太郎監督【ホラー対談】
日常のアイドリングしている状態から着想を得る
寺内「真似できるのは、本質を理解しているからですよ。 マユリカさんは、ネタはもちろんなんですが、僕はやっぱり人柄が好きなんですよね。お二人が並んでいるだけで楽しく感じる。マユリカのお二人のリアルな同級生ならではの信頼感が伝わってきます」 中谷「仕事のなかった大阪時代は、時間だけはあったんで、ネタ合わせと称して散歩をずっとしてたんですよ。二人でぐるぐるその辺を歩いてました。ネタのいくつかは、その雑談の中から出ています。今思うと、そういう時間が大事だったんでしょうね。ずっとアイドリングし続けていたような時間にも意味があった。そういう時に、思いもよらない発想が出てきたりしましたから」 寺内「実はQもそれに近くて、日常のアイドリングしている状態でも、何が面白いか、何が怖いか、何が気持ち悪いか、そういうことばっかり考えているんです」 中谷「たとえば、日常のどんなところから着想を得るんですか?」 寺内「そうですね…。たとえば、僕は地元が大阪なんですけど、たまたま帰省した時に、マンションのエレベータ―前に花が置いてあったんです。なんか気持ち悪いな…と思ったんですよ。これを伝えたら、Qのメンバーと、その気持ち悪さを共感しあえたんです。そこからイメージを広げていって、『悪質なイタズラか?玄関先に置かれる献花の謎』の動画になりました」 中谷「なるほど! そういう感じで出来てるんですね。メンバーの誰かが“日常のアレ怖くない?”と言ったら、そこから生まれるというか」 寺内「メンバーの4人が共感したものを形にしています。でもまだ形になっていないネタのストックは、とてもたくさんあるんです」
素人の高校生が漫才をするだけの映像なのにめっちゃ気持ち悪いですよ。
中谷「『ラストカウントダウン』も強烈ですよね。あれはどうやって作ってるんですか。見たことも無いような変なキャラクターとか、ビジュアルとか、メンバー同士でどうやって共有するんですか(笑)。だって、アレめっちゃ変ですよ(笑)」 寺内「客観的に見るとそうですね(笑)」 中谷「あれこそ大喜利だと思うのですが…」 寺内「そうかもしれません。僕は絵を描くのが好きなんですが、あのキャラクターは別人格を憑依させて描きました。別人になりきって、そいつのつもりで描きましたね」 中谷「素人の高校生が漫才するだけの映像もありましたよね(笑) あの気持ち悪さどうやって作るんだよって思いますよ。あれなんかどこまで脚本があったんですか」 寺内「脚本というより設定を決めて撮っていくことがほとんどですね。内容は演者も含めて一緒に作ってます」 中谷「その日で作り上げていくんですね。僕は『この映像はお祓いを済ませておりません』に出てくる霊能者が好きなんですよ。田園風景を見て、一言目に“ええ感じやない”って呟く。フェイクではあり得ないような、本当に内から出てきたようなセリフですよね。どうやって演技指導してるのかと思いますよ」 寺内「撮影の現場で作っていくんです。あの動画の俳優さんは、百戦錬磨のベテラン俳優さんです。しかし演技が上手くても、“演者の中で何か違う”となってしまうとリアルさは出ないんです。だからリアルじゃないシーンはいったん保留にして別のシーンを撮り、僕の求める自然さとは何なのかを出演者に共有してもらってから、もう一度戻って撮ったりします。 芝居のオーディションなんかでも、受かるためにしなくてはいけないミッションをすべてこなした人に限って落ちたりする。それよりも、“落ちてもいいや、今日は楽しかったな”と思える人が通ったりする。その理由って、単なる芝居ではない、人柄が出ているからだと思うんです。そこにリアリティが出たりするんですよね。 Qでも、その自然さを大切にしようと思っています。台本通りではなく、その少し先というか手前というか」
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