80歳のアマチュア力士引退へ 長野県塩尻市北小野の横澤憲一さん 小野神社の奉納相撲を最後に
「小野光」のしこ名で約60年間、アマチュア力士を続けてきた塩尻市北小野の横澤憲一さん(80)が、10月6日に地元・小野神社で行われる奉納相撲への出場を最後に引退する。地域住民の健康を祈り、県内各地の伝統ある奉納相撲に参加してきたが、体力の限界を感じて終止符を打つと決めた。観客の声援に鼓舞された数々の場を振り返り「最後も思い切ってやりたい」と意気込む。 今月1日に市外であった奉納相撲では、足腰が思うように動かなかった。「思い切り相撲が取れないと相手にも悪い」と土俵を下りる決意をした。今後は対戦はしないが、県相撲協会の理事や、小野神社相撲協会の会員としての活動は続ける。 小野神社をはじめ、大町市や池田町など県内6カ所の奉納相撲に参加している。以前は塩尻市内外に土俵があり、相撲を楽しむ人も多く、各地の神社で奉納相撲が盛んだった。小野神社の奉納相撲で印象深いのは、長年応援する大相撲・入間川部屋の磋牙司関らが参加してくれたこと。50代の時に、駒司関に勝ったことも思い出だ。 相撲は高校時代に趣味で始めた。運送会社に就職し、トラック運転手の仕事をしながら、練習に励んだ。国民体育大会(当時)や北信越大会に県代表として出場した。公認審判員として国体で審判を務めたことも。運送会社は60歳で定年退職し、現在は塩尻市のスクールバスの運転手として働く。カラオケが好きで、伸び伸びと歌うことも健康維持に役立っている。 10月6日の奉納相撲は午後1時からで、横澤さんと、20~60代の12人が参加する。「小野地区に光を与えたい」との願いを込めて、しこ名を付けた横澤さん。「80歳最後の関取として、精いっぱい相撲を取りたい。地域の人に見てもらいたい」と張り切っている。中入りや、子供を抱いて土俵に上がる健康祈願も行い、横澤さんは磋牙司関から贈られた化粧まわしを着けて登場する。
市民タイムス