過度な円安で海外M&A困難、新規投資は国内向け中心も-商船三井社長
(ブルームバーグ): 商船三井の橋本剛社長は30日、円安はドル建てでの収益が多い同社の円換算の利益を押し上げる効果がある一方、過度に円安が進めば海外など成長領域での企業の合併・買収(M&A)がやりにくくなるため「痛し痒(かゆ)しの面がある」と述べた。
橋本社長は同日の決算会見で、成長領域でのM&Aを積極的に行っていくことを計画している商船三井としては「ほどほどの円高への回帰」が望ましい面があると語った。ただ、円安は当面続きそうなため、新規投資については国内向けなどの案件に力を入れていかざるを得ないとの考えを示した。
商船三井は昨年発表した経営計画で、海運の不況時にも黒字を維持できるようM&Aも活用しながら事業ポートフォリオを組み替えていくことを掲げた。同計画では2025年度までの3年間(フェーズ1)で環境分野を中心に1兆2000億円の投資を行うとした。
商船三井は前期(24年3月期)までに既に1兆1300億円について投資決定をしており、フェーズ1の投資計画は前倒しで進捗(しんちょく)しているが、橋本社長は「大型のM&A案件を決めることができれば、24年度とか25年度に大きなキャッシュアウトが発生する可能性はある」とした。業績の上振れや営業キャッシュフロー改善で投資余力が増えており、M&A案件次第では必ずしも1兆2000億円の枠にこだわらないとの考えを示した。
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Tsuyoshi Inajima