『アオハライド』漫画家・咲坂伊緒にインタビュー 制作秘話明かす「こんなに長いこと描くとは」
■描くときの思い「私はわかってあげてるからね」
――様々な個性豊かなキャラクターを描かれてきましたが、描くときに心がけていたことはありますか? リアルにもしその子がいたら、関わらないで一生を終えるかもしれないタイプの子でも、とにかく理解しなきゃいけない。どんな子でも絶対“私が言い分を聞こう”とは思ってます。アオハライドの洸が私の一番推しで、洸と冬馬で人気を二分していたので、冬馬派からはすごく(洸は)けなされていました。でも、“私はわかってあげてるからね”っていう気持ちでずっと描いてました(笑) ――ストーリーは自身の経験がいかされていたこともありましたか? どんなにタイプの違う子でも、どこかしらに自分の何か(要素)は入っているとは思うんです。例えば、すごく優しくされたら“私のこと好きなのかも”って思ってしまって、でも人間として優しいだけで私のことは好きではなかった、みたいな経験があります。そんなことを思い出しながら、ナチュラルにこういう人いたなと描いていたこともあります。
■制作秘話明かす「“かわいい…”って思いながら描いていました」
――描いていて憧れたシーンはありますか? もし自分が体験できたら全部うれしいとは思うんですけど、『サクラ、サク。』のシーンで、主人公の咲のバイトが終わった後に、相手の陽希くんという子がお話しに会いに来てくれるんです。「学校で話せなかったことを話そう」って来てくれる。それ描いている時に“かわいい…”って思いながら描いていました。
■“全員が片思い”の人気作「今まで以上にすごく考えて描いた」
咲坂さんが4作品の中で特に構想を練ったというのが『思い、思われ、ふり、ふられ』。全員が片思いという、同じ高校に通う男女4人の恋心が複雑に交差する物語です。 ――当時の制作にはどんな思い出がありますか? やったことないタイプのストーリーだったので、一つの出来事がみんなにどうやったら作用するか、今まで以上にすごく考えて描いた作品だったなと思います。いつも以上にノートを確認しながらやっていてすごくメモしてた記憶があります。
――漫画家としての楽しさはどんなところにありますか? 頭の中でぐちゃぐちゃってあるものに、いい言葉を見つけて当てはめられたり、何となく思っている映像をちゃんと絵で描けたり、しかもそれが1本のストーリーでちゃんと描けた時は“やった~”っていう気持ちですね。 ――今後の漫画家の活動について目標はありますか? 絶対続けてやるぞっていうのは思ってはいないんです。でも結局好きだから描いちゃうのかなっていう気がしますけど、喜んでもらえるものを描ければいいなと。自分も楽しみながら一緒に喜んでもらえるっていう、いいあんばいを見つけながら、描いていければいいなとは思います。