サッカー欧州No1を決める「UEFAチャンピオンズリーグ」、世界5億人の視聴者が熱狂する仕掛けとは
欧州サッカーのクラブNo.1を決める「UEFAチャンピオンズリーグ」が佳境を迎えています。5月1日からの準決勝に勝ち残っているのは、スペインの強豪「レアル・マドリード」など4チームです。決勝戦の視聴者は5億人以上。空前の人気を誇るチャンピオンズリーグとは、いったい、どんな大会なのでしょうか。専門記者グループのフロントラインプレスが、サッカーファンではないあなたにもやさしく解説します。 【図】チャンピオンズリーグの歴代優勝チーム (フロントラインプレス) ■ サッカーファンは世界35億~40億人 サッカーは世界で最も人気があるスポーツと言われています。各競技の公式団体によると、競技人口(推計)が最も多いのはバレーボールの約5億人、2番目がバスケットボールの約4億5000万人。次いで、卓球とクリケットがそれぞれ約3億人です。サッカーは2億6000万人で5番目ですが、観戦を楽しむファン人口は各競技のなかで最も多い35億~40億人と推計されています。 そうしたなか、サッカー強国の多い欧州では有力チームがしのぎを削っており、各国のリーグ戦ではいつも激しい戦いが繰り広げられてきました。その各国リーグで上位の成績を残したチームのみが選ばれ、欧州No.1を決めるのがUEFAチャンピオンズリーグです。 1955年に「欧州チャンピオンズカップ(European Champion Clubs' Cup)」の名称で始まって以来、すでに70年。大会の名称やチームの選出方法は変遷を重ねながら、人気は欧州だけでなく世界に広がっています。 大会は現在、どのような仕組みで開かれているのでしょうか。
■ 欧州No.1のサッカーチームを選ぶ仕組み 欧州サッカー連盟(Union of European Football Associations : UEFA)には現在、55カ国・地域のサッカー協会が加盟し、それぞれにリーグ戦を運営しています。UEFAは過去5年間の戦績をもとに各協会のレベルを数値化し、ランキングとして公表しており、チャンピオンズリーグへの出場枠もこの「カントリーランキング」に基づいています。 まず、ランキング1~4位の4協会からは、それぞれのリーグ戦で上位4位に入ったチームが自動的に出場権を手にします。さらにランキングが5~6位の2協会からは各リーグ戦の上位3チーム、同じく7~15位の上位2チーム……といった形で出場権が与えられるほか、前年度のチャンピオンズリーグ優勝チームなども出場権を手にします。 このようにして2023~2024シーズンの本戦・予選への出場権を得たのは78チームでした。このうちスペインやドイツ、イタリア、イングランド、フランスなどの強豪リーグに所属する計26チームは出場権を得た時点で直接、グループステージ(32チーム)への参加が決まっています。ところが、他のチームはグループステージの残り6枠をめぐって厳しい予選を戦い抜かねばなりません。 チャンピオンズリーグには、例えば、アゼルバイジャン(ランキング26位)やカザフスタン(29位)、アルメニア(41位)、アンドラ(54位)などサッカーとはなじみの薄い国々からもクラブチームが参加しています。ただ、これらのチームは毎年8~10月に行われる予選の段階で早々と敗退しており、注目を集めることはほとんどないのです。 なお、ロシア協会もUEFAに加盟していますが、ロシアのウクライナ侵攻により、国際サッカー連盟(FIFA)とUEFAはロシアのクラブチームと代表チームに国際大会への出場停止処分を科しています。そのため、今シーズンのチャンピオンズリーグにロシアのクラブチームは参加できませんでした。