「日本人って素晴らしい」のに…インドで働く34歳年収1200万円商社マンが「日本の自滅」に肩を落とすワケ
我が国とは比較にならない勢いで成長を続ける、インド経済の現状については〈「日本経済がインド経済に勝つのは、正直厳しい」インドで働く34歳年収1200万円商社マンがそう嘆くワケ〉で紹介した。本稿では引き続き、大手総合商社のインド支店に勤める34歳・森川優氏へ、一筋縄ではいかないインド社会の実態について聞いていく。 【写真】もしも10年前に三菱商事に投資していたら「配当利回り」は今いくら? 聞き手:佐藤大輝(世界30ヶ国を旅したバックパッカー)
根深いインドの格差問題
ーー我が国と同じようにインドでも、貧困や格差の問題が深刻化しており、ここに大きな影響を与えているのが「カースト制度の名残り」というご指摘が前編でありました。ぜひ詳しく解説お願いします。 まず大前提として、表面上、カースト制度は消滅しています。なので「職業選択の自由」は全国民に与えられており、誰でも頑張れば頑張った分だけ報われる土台は整っているように感じます。けれどカースト制度の残した「負の遺産」は今でも健在です。 例えばインドの銀行、高年収のホワイトカラーですね、で働く人には「クマール」という名字が驚くほど多い。元々のカーストが高い層の親から生まれる子供は、学校にきちんと通うことができ、教育に投資できるお金があるため、このような現象が起きているのでしょう。逆にカースト下位だった家庭は、どうしても教育レベルが低くなりがちです。結果、職業選択の自由はあるけれど、実際には、就ける仕事に限りが出るという現象が起きています。 ーーとても示唆深いお話ありがとうございます。 インドでは6割くらいが貧困家庭で、残りの4割が中流以上家庭と言われていますが、経済成長の恩恵に預かっているのは4割の家庭です。国民全体に「豊かさ」が行き渡っているわけではありません。お金や生活に余裕のある人がドンドン潤っているだけであり、ここは難しい問題だなと感じます。 ーーそれだけ格差が広がると治安などは大丈夫なのでしょうか? 治安は良いと思いますよ。少なくとも日本人が暮らしている地区や地域は安全です。自分の周りで日本人が被害に遭った話は聞きませんね。ただし交通違反は、警察に賄賂を渡せば見逃してもらえる悪い慣習が残ってます。おおよそ2000ルピー(日本円で約4000円)を支払って切符を切るか、それとも警察官個人に500ルピー渡して見逃してもらうか。もちろん答えの相場は決まってるんですけどね 笑。 ーー自分もインドに行った際、タクシー運転手が交通違反で切符を切られそうになっていましたが、賄賂を渡して乗り切ってました 笑。ただし一緒に行った友達がパスポートを紛失した際は、ライフルを持ったインド警察(もしかしたら軍隊? )の方が誠心誠意、対応してくれました。インド人は少年っぽいと言うか、根は良い人が多いですよね!