マニア垂涎の山野草「カザグルマ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #30
マニア垂涎の山野草「カザグルマ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #30
登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します! 新年あけましておめでとうございます。今年も、本連載をなにとぞよろしくお願いします。……と、堅苦しいあいさつはさておき。初詣、行きました? なんでもオサイフが潤沢なときには酒瓶に向き合い、火の車だと神に向き合うという黒い噂があるのが、ニッポンの初詣なんだとか。で、来年は年賀状値上げですって。神業界も紙業界もタイヘンです。さて、新年一発目の本連載は、そんな不景気風を吹き飛ばすものをば。華やかかつ花マニアが喜ぶひと花をご紹介します!! 。
マニア御用達の絶滅危惧種
Data カザグルマ(キンポウゲ科) 一般的な花期:5~6月 おもな生育場所:平地~山地のやや湿った林縁部など。 「ヤマノハナは、やっぱり高山植物じゃなきゃ! 」。本連載の読者はそんなコダワリをもってみえるでしょうか。そんな方に、新年早々ゴメンナサイ。こちら、カザグルマは高山植物ではなく、いわゆる山野草。でもね、聞いてくださいな! 山植物カメラマンが、「一度は見てみたいなあ」ってこぞってつぶやくのが、このお花だったりするんデス。環境省をはじめ各県の絶滅危惧種や保護・保全対象となるこのお花、「見たことある」って言えば、尊敬の眼差しで見られるかも!! 。
アノ人気園芸種のお母さん
「それはないっしょ。だれにモテるんじゃーい! 」って思った方、落ちついて。これ、かの超人気園芸植物・クレマチスの原種なんですよ。クレマチスといえば、その雅なお姿から全国的に人気を誇る園芸植物のひとつ。品種の豊富さでも知られています。ですから、「カザグルマ知ってる」と言えば、園芸好きの方の目が光ること、間違いなし。まあ、園芸趣味といえばシニアがテッパンですから(偏見)、人生大ベテラン女性からの「まあそうなのね~♥♥♥」かもしれませんが……。
清楚だから人気なんです
「セレブおばさまならいいぜ。ウヘヘ」。そんな汚らわしいオトコがおりましたら、放っておきましょう。なんていっても、カザグルマの魅力はその清楚さにあるんですから!! カザグルマは花色が白~薄紫色で、中心の雄しべが日を追うごとに開いていくのもチャームポイント。そして花弁に見える大きな白い花びらは、キンポウゲ科にありがちなガク片。このガク片がダンサーのように艷やかにうねります♪……あ、いま自分の汚らわしさに気づきました。