欧州各国の課税強化で超富裕層の国外脱出が相次ぐなか、税優遇措置でお金持ちを受け入れる「スイス」の狙い
有名俳優たちが移住する国「スイス」
フランスやイギリスなど超富裕層への課税強化を推し進める一方で、超富裕層を受け入れる政策を取っているのがスイスです。 スイスでは、お金持ちの外国人を対象にした税制優遇措置(州税としての一括税)を設けている州がいくつかあります。スイス国籍がなく、スイスに初めて(または10年以上不在後に)居住または永住するが国内で就業していない人を対象にしています。 スイスで住む家の賃貸価値の5~7倍の額を納税すれば、外国で得た収入には課税されません。この税制を利用するために、世界的な映画俳優などがスイスに移住しています。 なお、スイスは連邦税よりも州税の負担が重いことから、州税である一括税を利用することで税負担が軽減されます。 優遇措置によって裕福な外国人を受け入れることで、豪邸や高級レストランが建設されていきました。 しかし、この税制に批判する住民も多くいたため、一部の州では一括税を廃止しました。 結果として、スイスから他国に移住した人もいれば、税負担が増加しても、治安と景色の良いスイスに居住をすることを続ける人もいました。 矢内一好 国際課税研究所首席研究員
矢内 一好
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