認知症ケアを見える化 都プログラム、新加算にも対応
4月の介護報酬改定で妄想、徘徊はいかいといった認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応を評価する認知症チームケア推進加算が新設された。その算定に向けた手立ての一つとされるのが「日本版認知症BPSDケアプログラム」だ。BPSDを利用者のSOSと受け止め、チームで要因を探ってケア計画を立て、全職員で統一して行う。ケアの前後でBPSDの状態を点数で比較できるため、ケア効果の「見える化」ができる。 プログラムは東京都と都医学総合研究所が、スウェーデンの取り組みを参考に開発。2018年度から本格展開している。 具体的には、専用のオンラインシステム上でBPSDの国際的な評価尺度であるNPI評価(妄想、不安定性など12項目)を行うと、その利用者のBPSDの状態が点数で示される。点数(重症度)が高い項目についてチェックリストを用いて要因を分析し、分かりやすいケア計画を作って一貫したケアを行う。チームで話し合い、取り組むことによりケアの考えを共有する機会にもなる。 ケア計画を一定期間実施したら、再びNPI評価を行い点数化することにより、点数が減ればBPSDの状態が緩和したことになり、逆に点数が増えた場合はケア計画を見直す。こうしたサイクルを繰り返し行うことによりケアの質を向上させることができ、新加算の算定要件の一部もクリアできる。 文京区にある特別養護老人ホーム文京小日向の家(社会福祉法人奉優会)は現在定員24人中7人の利用者にプログラムを適用している。介護支援専門員でプログラムのインストラクターでもある勝俣洋子さんは「今までのケアは感覚や経験に頼っていた面もあったが、数値化されることで明確になる。求められているケアができたときは職員の自信にもなる」と話す。 プログラムの利用にはeラーニング研修(約5時間)とフォローアップ研修(約3時間)を受ける必要がある。日程など詳細については都のウェブサイトに掲載。23年度末で研修修了者は約1200人いる。 プログラムの利用や研修は無料。小澤耕平都認知症施策推進担当課長は「1月に認知症基本法が施行された。認知症ケアの質の向上にプログラムを活用してほしい」と話している。