不祥事続きの鹿児島県警は「信頼失墜の懸念を払拭できていない」…再発防止策徹底を強調する公安委員長、議員は県民意識とのずれを指摘
鹿児島県警の相次ぐ不祥事を巡り、県警を管理する県公安委員会の石窪奈穂美委員長は19日、「県民の信頼を失っているという懸念は払拭できていない」との認識を明らかにした。「再発防止策の実績や成果が懸念解消につながる。必要な指導をする」と強調した。同日の県議会本会議で秋丸健一郎議員(県民連合、霧島市・姶良郡区)の代表質問に答えた。 県警不祥事を巡っては、前幹部が「野川明輝本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとした」と主張している。6月に公安委が「隠蔽を指示したと判断する事実は認められない」とする声明を出した理由を問われ、石窪委員長は「県警側から計11回報告を受けた。本部長や警務部長に疑問点を確認するなどして(委員の)3人で検討した」と説明した。 県警側の情報だけに基づいた判断について秋丸議員は「どこまで正確性があるのか」と疑問視。野川本部長の隠蔽疑惑が終息していない実態を念頭に「再発防止策が県警の信頼回復につながるという考え方は、県民意識とずれがある。公安委は県民と県警のどちらの代表か」と非難した。
この経緯や現状への見解を問われた塩田康一知事は「司法の場で事実関係が明らかにされるとともに、再発防止策を徹底することで県民の懸念払拭につながる」と述べるにとどめた。 公安委員の選出過程への質疑では、県側が「県警から候補者の参考情報を聞き取って選任し、議会の同意を得て任命している」と答弁。秋丸議員は「管理される県警側が管理する人を推薦するような仕組みは疑問だ。委員3人のうち1人を公募することも検討していいのではないか」と提言した。 さらに秋丸議員は、県警の情報公開の姿勢が後ろ向きだと苦言。野川本部長は「他の模倣ではなく、鹿児島県警の取り組みが他地域で紹介されるほどの姿勢で取り組む」と強調した。
南日本新聞 | 鹿児島