愛媛FC FW舩橋京汰 プロ初先発でハットトリック 後半戦再浮上のキーマンに!
J2のシーズンが進むにつれ、停滞感の目立ってきた愛媛FCに、チームを活性化させる“起爆剤”が現れた。今季加入した高卒ルーキーの舩橋京汰。貪欲にゴールに迫る姿勢で、6月の天皇杯ではプロ初先発でハットトリックの偉業を達成した。愛媛FC再浮上のキーマンとなれるか。(松本隆志) 「つま先がギリギリ触れるかという感じだった」 サイドからのクロスボールに対し、勢いよくゴール前へ飛び込んできた18歳。持ち前の猪突猛進さに加え、プロとして公式戦初先発という気合も乗ってか、懸命に伸ばした右足はわずかにボールに触れ、ゴールネットを揺らした。 6月12日、敵地でファジアーノ岡山と争われた天皇杯2回戦。前半42分に生まれたゴールは舩橋京汰という新たなシンデレラボーイ誕生の瞬間であった。 舩橋はその後も止まらなかった。51分にはペナルティエリアのわずか外でボールを受けて前を向くと、間髪入れずに左足を振り抜いて2点目。72分にはカウンターを起点にチームメートの流れるようなコンビネーションから満を持した形でダメ押しゴールを決め、ホームで大きな後押しを受ける岡山の息の根を止めた。 プロ初先発でハットトリックの偉業を成し遂げた若者は試合後、「疲れたが6割、嬉しいが4割」と、ほどよく脱力した様子を見せながら、その表情は達成感に満ちていた。 天皇杯2回戦での勝利後、チーム内における舩橋の序列にも変化が見られる。それまではベンチ入りすらままならなかったが、6月以降はすべてのリーグ戦でベンチに入り、いずれの試合でも途中出場。プレー時間が徐々に長くなりつつあるのも、指揮官からの期待の表れと言えるだろう。 「勢いをもたらすのが自分の役割だと思っている」。そう語る舩橋を筆頭にしたサブ組の突き上げが大きな刺激となったチームは、第20節で当時首位だった清水エスパルスを3-0で撃破。天皇杯を含めた公式戦4連勝を遂げ、停滞感を払拭した。しかし、舩橋は自身が単なる“起爆剤”のままで終わるつもりはない。 「先発で出たい気持ちは強いし、FWのポジション争いが激しくなっているのもわかっている。そんな中で日々の練習からどれだけ良いアピールができるか。試合では短い時間でも自分の良さをもっと出していかなきゃいけないし、その中で結果を残していきたい」
愛媛新聞社