磯村勇斗「“マブい”が再びはやるとうれしい」、ドラマを通じて再発見した昭和を生きる人々の魅力<不適切にもほどがある!>
磯村勇斗が、1月26日(金) よりスタートする阿部サダヲ主演、宮藤官九郎脚本による金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系※初回は夜10:00-11:09)に出演する。同作で磯村はとあるアイドルを心酔するあまり、その身なり言動全てを完コピしている“ムッチ先輩”こと秋津睦実を演じる。このたびWEBザテレビジョンでは磯村にインタビューを実施。“宮藤官九郎ワールド全開”ともいえる本作の魅力や、個性的なビジュアルが印象的なムッチ先輩について、そして、平成生まれの磯村が感じた昭和を生きる人々の魅力などをたっぷりと語ってもらった。 【写真】ジッとカメラを見つめる姿も美しい磯村勇斗 ■昭和の“ダメおやじ”が令和へタイムスリップ 同作は、昭和のおじさんがコンプラで縛られた令和の人々に考えるきっかけを与えていく意識低い系タイムスリップコメディー。脚本は宮藤が務め、妻を亡くした市郎(阿部)とその一人娘・純子(河合優実)、そしてタイムスリップしたことで出会う人々との絆を描く、ヒューマンコメディーとしての要素も持つ完全オリジナルストーリーだ。 同ドラマには、突如1986年から2024年へタイムスリップし、令和では考えられない“不適切”な言動を繰り返す小川市郎役を演じる阿部の他、そんな市郎の一人娘で昭和の女子高生・純子役で河合が出演。 また、バラエティー番組のアシスタントプロデューサーとして働くシングルマザー・犬島渚役を仲里依紗が演じる他、磯村、坂元愛登、吉田羊ら個性豊かな面々がストーリーを盛り上げる。 ■宮藤脚本作品は初参加「やっと携わることができる」 ――宮藤官九郎さんが脚本を手掛ける作品は今回が初とお伺いしました。 最初にお話をいただいたときに、宮藤官九郎さんの作品にやっと携わることができるんだとうれしく思いましたし、それと同時にその世界に染まりたいと思いました。 台本を読んでみると、言葉一つ一つが本当に面白いんです。(せりふの)掛け合いも、キャラクターの描き方も含め、楽しく読ませていただきました。 ――ストーリー自体の印象はいかがですか? 僕自身タイムリープものが好きなので、そういった要素もある本作は、心くすぐられるような、そんな物語だなと思いました。 ■ムッチ先輩は“二つの面”を持つ少し異質なキャラクター ――ムッチ先輩を演じてみての感想を教えてください。 ムッチ先輩としての撮影はこれから増えていくのですが…ボリュームのある髪型や革ジャンだったりと、令和ではあまり見ないビジュアルですよね。ムッチ先輩はとあるアイドルに憧れているという設定なのですが、時代柄ちょっと不良で。その少し異質な感じも楽しんで演じています。 ポスタービジュアルの撮影の時も阿部さんに「なんか一人だけ違うよね」と言われたのですが、パッと見た時にインパクトのあるキャラクターなので、それに負けないようにお芝居しないといけないなと思っています。 ――ムッチ先輩の印象的なビジュアルはどのようにして作り上げていったのでしょうか? 最初に、プロデューサーの磯山(晶)さんから「こういう髪型にしたい、あるアイドルに憧れている役だからその人を見ておいて」とお話がありました。なので、(映像で)見ていたまんまの髪型やファッションにして、当時の“あの方”を感じられるように意識しました。 ――出来上がったビジュアルを見た時の周囲の反応はいかがでしたか? 衣装合わせの時に、「良い!似合ってる!」と皆さんおっしゃってくださったので、それだけで僕は良かったなと思っていたのですが、ムッチ先輩の姿で現場に入ったらみんなが笑っていて(笑)。普段、現場に入っただけで笑われることなんてないので、これで“正解だったんだな“と安心しました。 ――とあるアイドルに憧れている役どころですが、当時の映像などを見てせりふの言い回しも研究されたのでしょうか? ムッチ先輩はあくまで不良なのでベースは不良口調なのですが、急にアイドルのようなスイッチが入るという人物。そんな中でも、憧れているアイドルの歌を口ずさむシーンがあるので、そういう部分ではなるべく本家のニュアンスを研究して寄せるようにしています。 昭和の不良感もありつつ、アイドル大好きという一面もある、そんな二つの面をうまくミックスさせながら演じています。 ――ご自身は平成生まれかと思いますが、昭和という時代に対してどういった印象をお持ちですか? これまでにも昭和を生きてきたキャラクターを演じたことはあるので、その都度昭和という時代について調べてきました。 なので、どういう時代だったかということは自分の中で理解しているつもりではあるので、新たな追加要素として、その時代にどういうアイドルがいたかとか、日常でどういう会話をしていたかを勉強しました。 改めて感じたのは、当時の写真や映像を見るとみんな背筋がピンと伸びていて。現代だとスマートフォンの普及によって下を向きがちだというのもあるかもしれないですけど、自分の仕事に対して誇りを持って働いていたんじゃないかなと思って。僕も昭和に行ってみたいなというも気持ちになりました。 ――本作には昭和ならではのワードも登場します。磯村さんのせりふにも「マブい」というワードがありました。 僕は別作品で「マブい」などの昭和の言葉を使っていたので意味は知っているのですが、20代前半の子は分からないんじゃないかな。むしろ、新しくて使いたくなる可能性もありますよね。「マブい」が再びはやるとうれしいです (笑)! ■「自分自身が今の世の中を見つめ直すきっかけにもなるドラマ」 ――今後の撮影で楽しみにしていることはありますか? やはり、純子役を演じる河合さんとのお芝居が楽しみです。映画「PLAN 75」(2022年)で一度共演しているのですが、同じシーンはなかったので、お芝居で絡むのは今回が初めてになります。河合さんは映画のイメージが強かったので、河合さんが演じる純子を早く見たいなという気持ちでいっぱいです。 ――台本を読んで純子のどういった部分が魅力的だなと感じますか? 全部です! 強がっている部分もありますが、すごくピュアですし、恋の話になると照れちゃう感じはギャップがあってかわいいなと思います。 ――印象的なせりふがあれば教えてください。 市郎さんのせりふで「期待して、期待に応えて、叱られて励まされて頑張って、そうやって関わり合って強くなるのが人間じゃねえの?」とあるのですが、僕たちがなくしてしまった部分を教えてくれている気がしていて。 ほめたり応援することは、人によってはプレッシャーになってしまうかもしれないですし、今は一緒に戦って、築き上げていくというスタイルではないですが、市郎さんの言葉を受けて「そういうのって大切だよね」って気付かされた気がしています。 ――本作では昭和と令和、それぞれの良いところが見えてくる作品だと思いますが、磯村さんご自身が感じる令和の良いところは? あまり人が無理をしないで済む世の中になったことは良いことだなと思っています。自分の心と向き合いながら仕事をしたりできる環境に少しずつ整備されているのはすてきなことじゃないかなと。 ――最後にドラマの見どころと読者へのメッセージをお願いします。 昭和を知っている方は懐かしく、そして身近に感じるドラマになると思いますし、平成や令和に生まれた方にとっては、“新しいものを見られたな“という感覚になれる、まさにどの世代でも楽しめる作品になっています。 今は働き方改革やコンプライアンスの制限などがある中で、それが正しいのかという疑問点に阿部さん演じる市郎が切り込んでいくので、もう一度自分自身が今の世の中を見つめ直すきっかけにもなるドラマです。ぜひ見てください! 撮影=加藤翔/ヘア&メーク=佐藤友勝/スタイリスト=笠井時夢/衣装協力=KAMIYA