西日本は2秒、東日本は4秒…ゲンジボタルの発光周期の謎、世界で初めて解明される? 鹿児島大など研究チームが全ゲノム解析に成功
鹿児島大学と国立遺伝学研究所を中心とするチームは、日本の固有種ゲンジボタルの全てのゲノム(全遺伝情報)を、世界で初めて解析したと発表した。発光周期が東西で異なる仕組みの解明や、効果的な保全につながることが期待される。英国の国際科学雑誌電子版に18日、掲載された。 【写真】〈関連〉ゲンジボタルの全ゲノムを解析した加藤太一郎准教授=鹿児島市の鹿児島大
ゲンジボタルは、中部山岳地帯を境に、発光周期が2秒の西日本型と4秒の東日本型に大別される。その差には、遺伝子配列の違いが関連していることが、鹿大理学部の加藤太一郎(だいいちろう)准教授=生物化学=らの研究で分かっていた。 加藤准教授らは、10年かけて西日本型のオス1匹の全ゲノム解析を達成。今後、これをベースに各地の個体のゲノム解析が容易となり、発光周期の東西差の解明やホタルの起源に迫ることが期待できるという。今回の研究で、ホタルの体内には、既に知られていた発光酵素タンパク質以外にも、類似タンパク質が複数存在し、その一部が微弱に発光する性質を持つことも初めて明らかになった。 近年、都市部を中心に人為的な移動で東西のゲンジボタルが入り交じり、遺伝的な乱れが生じることが懸念されている。加藤准教授は「乱れは鹿児島でも進んでいるかもしれない。遺伝の多様性を守るためにも、東西のゲンジボタルが交雑できるのかどうか検証を進めたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島