YOASOBIが歌うNHKパリ五輪テーマ曲に「薄すぎる」の声。批判が的外れである理由
冷静な曲と熱いギターソロ、さじ加減が絶妙
曲調やサウンド面では新展開も見られます。YOASOBIのトレードマークだった電子音は影を潜め、ギターメインのバンドサウンドが新鮮です。そしてここでもAyaseの批評性が発揮されています。 いまの若い人たちが“ダサい”と感じるような古臭く歌い上げるギターソロをフィーチャーしているのです。モノローグの歌詞を淡々と歌うikuraとの対比で、そのダサさが効果的な仕掛けになっている。 曲全体はスポーツとは距離を取った冷静なトーンであっても、ギターソロは熱い。このさじ加減が絶妙なのですね。
スポーツを美談のいけにえにしない、素晴らしいテーマソング
YOASOBI全般に言えることですが、言葉を詰め込みすぎて歌が難しいパズルを解くアクロバットになっているきらいもあります。 しかし「舞台に立って」では、その細かさが大げさになることを防いでいる。 スポーツを美談のいけにえにしないという点で、「舞台に立って」は素晴らしいテーマソングなのだと思います。 <文/石黒隆之> 【石黒隆之】 音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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