鷗友学園&栄東が躍進、麻布&巣鴨が苦戦…30年前から激変!「東大合格者ランキング」高校の新序列
「今年の東京大学合格者ランキングの上位校を見ると、2つの特徴があります。1つ目が東京隣県にある高校の躍進です。聖光学院(神奈川、97人)、栄光学園(神奈川、47人)、市川(千葉、30人)などが合格者を増やしています。2つ目が公立校の健闘。日比谷(東京、59人)、県立浦和(埼玉、44人)、横浜翠嵐(神奈川、43人)などが上位に食い込んでいるんです」 【涙の栄冠!】「えっ、あの学校が!?」…東大ランキング「歓喜の女子合格者」胴上げ写真 こう語るのは、受験事情に詳しい『森上教育研究所』所長の森上展安氏だ。 3月10日、東大の合格者が発表された。今年は2993人が日本最難関の大学入試を突破。合格者を最も多く輩出した高校は149人の開成(東京)で、43年連続の1位となった。大学通信や『サンデー毎日』『AERA』が合同調査したランキング上位には、親世代が「知らないな」「あの学校が!?」と感じるであろう高校も入っている。30年前と激変したランキングから、高校の盛衰を紹介したい。 ◆30年前の’94年は合格者0 まずは躍進した高校から。今年2ケタ(13人)の合格者を出したのは鷗友学園女子(東京)だ。30年前の’94年は東大合格者0だったが、’21年5人→’22年9人→’23年3人と着実に実績を出している。前出の森上氏が解説する(以下、コメントは森上氏)。 「世田谷区の閑静な住宅街にあり、近年は女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)の併願校というポジションにあります。ただガツガツ勉強させるような校風ではないので、なかなか目立った結果を残せていませんでした。生徒のポテンシャルからして、2ケタの合格者を出せていなかったのが不思議なくらいです」 合格者が19人となったのが栄東(埼玉)。’94年は1人だった合格者が、最近は’21年12人→’22年14人→’23年13人と安定している。 「東京の中学受験日は2月上旬に行われますが、栄東は1月10日前後と早い。難関校を目指す受験生の腕試しとして、毎年8000人以上の応募があります。入試の細かいデータや試験問題も公開し、倍率も1点台と高くないため人気があるんです。東大クラスや医学部クラスなどを設置し、入学してからも生徒にがんばらせるシステムを採用。’10年代に入り東大合格者が飛躍的に増加しました」 一方で苦戦している学校もある。男子御三家の一角を担う麻布(東京)だ。’21年86人→’22年64人→’23年79人、そして今年は54人と昨年から25人も減らしてしまった。 「’90年代は毎年のように100人以上の合格者を出していたことを考えると、寂しい結果ですね。学校は港区にあり、以前は交通の便が良い神奈川の優秀な受験生が第一志望として受けていました。しかし最近は世田谷区の駒場東邦(43人)や渋谷区の渋谷教育学園渋谷(43人)など、近隣の勢いのある難関校に受験生が分散。神奈川の上位層の生徒が他校に流れているのかもしれません」 ’94年に64人の合格者を出した巣鴨(東京)も窮地にある。近年は’21年8人→’22年8人→’23年3人→今年5人と低迷しているのだ。 「かつては質実剛健なスパルタ式の教育で有名でした。今はだいぶソフトになりましたが、受験生や親にはまだ厳しいイメージがあり敬遠されているのかもしれません。のびのびした雰囲気を好む世の中の潮流に乗り遅れ、人気が下がってしまったんです。しかし校舎を刷新するなど最近は改革を進めています。伝統的に医学部にも強い。あと数年すれば以前の勢いを取り戻し復活するでしょう」 「名門」という言葉にあぐらをかいていると、ライバルに足をすくわれ伝統校もスグに凋落してしまう。受験業界の序列は年々変化しているのだ。
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