加勢鳥が和紙に変身 上山の文房具店、わら製「ケンダイ」から開発
上山市の「おかげさま文房具店」(土屋稚店主)が、同市の民俗行事「加勢鳥(かせどり)」で参加者がかぶるわら製の「ケンダイ」を使用した「加勢鳥和紙」を開発した。ケンダイの粉をすき込み、上品な薄黄土色の和紙に仕上げた。数量限定で販売しているほか、婚姻届などの商品展開も予定する。 昨年夏に都内で開かれた文房具イベントを通して知り合った福井県鯖江市の印刷会社「笹尾印刷所」の担当者から、芝や、わらなどを使った和紙を生産できると聞いた土屋さん。真っ先に頭に浮かんだのが、店内にポスターを貼っていた加勢鳥のケンダイだった。 ケンダイは今春、加勢鳥を継承している保存会から廃棄予定だった4羽分を譲ってもらった。土屋さんが10センチ程度の長さに裁断した後、同社が粉末状に加工した。書き心地やインクの乗り具合を考えて調整を重ね、8月末に完成した。 土屋さんは同県越前市の製紙所に直接出向き、加勢鳥和紙ができる様子を目に焼き付けた。「着色を一切しない自然な色で、すごくいい出来。日常的に使って加勢鳥を感じてほしい」。加勢鳥が「神様の使い」とされていることから、縁起のいい商品として婚姻届やのし袋、包装紙などを開発中だ。
早速、加勢鳥和紙で自身の名刺を作り、各種イベントなどで加勢鳥と上山をアピールしている。受け取った人の反応は上々で「文房具で上山を知ってもらいたい、上山を『紙の山』にしたいとずっと思ってきたことが一つ形になった。この和紙をきっかけに上山を訪れる人が増えたらうれしい」と話した。 加勢鳥和紙は同店店舗でのみ販売しており、A4判1枚55円、A3判110円。問い合わせは同店090(9421)0199。