「7月は攻めきれないピッチングだった」OB・大野豊が分析するカープ島内の投球
投手力を中心に、守り勝つ野球で首位争いを演じるカープ。ここではカープOB・大野豊氏が、夏場へ向けた投打の課題を独自の目線で解説する。 【写真】二軍で若鯉を指導する、高信二 二軍監督 ◆タイミングを合わせる投球フォームを 交流戦を貯金がある状態で終えたカープでしたが、7月の前半まではなかなか苦しい試合が続いていました。毎回お話しているように、先発陣はある程度、試合をつくることができています。ただ、その先発陣になかなか勝ちがついていなかったのが現状でした。その分、リリーフ陣に勝ちがついてはいるのですが、これは裏を返せば「リリーフ陣に負担がかかっていた」ということでもあります。そして、その蓄積した負担がリリーフ陣に出てきてしまったのが、7月の前半だったように感じられました。 例えば島内颯太郎のように、二軍での再調整を行った投手もいます。島内に関しては、一度、二軍でリフレッシュをしてもらおうという首脳陣の思いもあったのでしょう。彼の良さは打者を追い込むピッチングですが、7月上旬の島内を見ていると、なかなか攻めきれないという内容が非常に多かったように思います。 自分のイメージする軌道で投げ切れず、ややきつくなってきているのではないかと感じはしていました。ストレートのスピードが落ちているわけではないのですが、ほんの少しのタイミングなのではないかと思います。疲れも当然あると思いますが、メンタル面の要因もあったのかもしれません。そんな時こそ、しっかりタイミングを合わせて投げる投球フォームを思い出すべきではないかと思います。 先発陣では、開幕戦から起用している大瀬良、九里、床田、森下と4投手がここまでローテーションを守りながら試合を消化できているというのは、リーグ全体を見ても珍しいのではないでしょうか。それだけ、カープの先発陣は安定感のある投球ができているのだと思います。その分、先発陣にもっと勝ちがついていても良かったのではないかというのが正直な思いですが、こればかりは打線との兼ね合いもありますから何とも言えません。 もちろん、シーズンを通して見ると、『打てない試合』というのは当然あります。しかし今年の前半戦に限っては、その『打てない試合』が少し多かった印象があります。現在、打線は調子を取り戻してきつつありますが、この調子で、5点、6点としっかり点が取れる試合を増やしていってもらいたいと思います。 (後編へ続く)
広島アスリートマガジン編集部