中川大志、15年目の役者人生も「常にエネルギー源はお客さん」
◆「なぜ自分はここに集められたのか?」
──具体的に「地球ゴージャス」のどこに惹かれたんですか? 高校生のときに書かれたブログには「いつかこの舞台に立ちたい」とあったんだとか。 書いたこと自体忘れていたのですが、情報解禁になってファンの方が見つけてくれました(笑)。でもそこにある言葉は事実で、嫉妬しちゃったんですよね。同じ仕事をしている身として、「なんて楽しそうなんだろう」と思っちゃうくらい、お客さんとのつながりが強くて、団結力にエネルギーを感じました。 当時の心境は、「嫉妬」が説明するには一番合っている気がするし、当時は「ここに来たらこの人たちに会えるんだ、ずっとこの人たちを観ていたい」みたいな気持ちになっていました(笑)。 ──となると中川さんは今回、初の地球ゴージャス参戦は相当な熱量なのでは? 役者としても、自分の人生としても、この作品が転換点になるのかなって。むしろそうしたいなと思っています。僕らの仕事は集まっては解散、また集まっては解散という繰りかえしなんですけど、そこに集められた年齢もキャリアもバラバラの方々が、一緒に作品に取り組んでいくといろんな発見があるんです。そうしてまた次に繋げていくというのが、作品ともリンクしていると思っていて。 今回の『儚き光のラプソディ』は、とある場所に集められた人間たちの話で、なぜ自分はここに集められたのか? 何を得て先に進んでいくのか? というテーマがあるので、それを自分の事として考えながら、役者としてこれから30代に向けて取り組んでいけたらいいなと思っています。
◆「僕らの仕事は、職人たちの集まり」
──今後についての話が出ましたが、以前インタビューさせていただいたとき、「俳優だからと線を引くのではなくて、面白いと思うことはどんな形でも参加したい」と仰っていたんです。それは今も変わらないですか? (どういう立場にいても)常にエネルギー源はお客さんで、「どうやってお客さんを驚かせようか」「どうやったらお客さんが笑ってくれるか」と考えていて、それは映像でも生のエンタテインメントでも同じ。そこを考えているのが楽しくてやっているし、根本にはそれしかないので。誰にも観てもらえなかったらやれない。だからこそ、新しいことをやり続けて「こんなこともできるんだ」と思われたいです。 ──2023年の短編映画『アクターズ・ショート・フィルム3』では初の監督業にも挑戦し、初めて「俳優部」ではない携わり方もされました。その経験から、なにか持って帰ってこられたものはありますか? ゼロから生み出す作業の大変さを少しだけ知ることができましたし、作品を生み出している方々への尊敬をより感じましたね。監督がどういうことをやっているのか、どういう仕事をしているのか、純粋に「知れた」ということは大きいです。あと僕らの仕事は「職人たちの集まり」なので、いろんな世代がいて、それぞれの常識や文化がある。 撮影部だったり、照明部だったりいろんな部署があるなかで、今回監督がどういうことやっているのかを知り、そのなかでも「リスペクトを持ちながらやっていくことが大切なんだ」と学びました。 ──ひとつ知ったら、またもうひとつ、とさらに前に進みたくなったのではないでしょうか? すごく興味はあります。この仕事を始める前から「この仕組みってどうなっているんだろう?」と、裏側にも興味があって、映画のメイキングとかを見るのが好きでした。なので、役者としてだけではなく、別の角度から作品やエンタテインメント作りに関わっていきたいという気持ちもあります。 それを具体的にどういう風にやっていくかというのは漠然としているところもあるんですけど、やりたいことは結局変わらないですね、「どうやってお客さんをびっくりさせるか」ということだと思います。 ◇ 地球ゴージャス『儚き光のラプソディ』は中川ほか、風間俊介、鈴木福、三浦涼介、佐奈宏紀、保坂知寿、岸谷五朗(作・演出)、寺脇康文が出演。4月の東京公演を経て、大阪公演は5月31日~6月9日に「SkyシアターMBS」(大阪市北区)にて。チケットは1万3500円で、現在発売中。