明日ゴング!レナードから激励を受けた井上岳志は米国世界初挑戦で“史上最大の番狂わせ”を起こせるのか?
プロボクシングのWBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチの前日計量が25日(日本時間26日)、米国テキサス州ヒューストンのスポーツバー「ピッチ25」で公開で行われ、挑戦者の同級3位、井上岳志(29、ワールドスポーツ)、王者のハイメ・ムンギア(22、メキシコ)の両者共に一発でパスした。ゴングは日本時間27日の午後に鳴るが、会場はNBAのヒューストン・ロケッツの本拠地、トヨタセンター。両選手は、計量後、この日の夜に行われるロケッツ対トロント・ラプターズ戦のハーフタイムに宣伝を兼ね登場するスケジュールが組まれている。王者のムンギアは31戦無敗のスター候補で、戦前オッズでは、井上が絶対不利だが“史上最大の番狂わせ”を起こす決意だ。
筋肉、パワーでは上回っている
計量直後、恒例のフェイスオフ。井上はムンギアを見上げる形になった。身長差は10センチ。だが、井上は、そんなハンデを笑い飛ばす。 「見上げるのはいつのもことです。想像していたよりも、全然、でかくなかった。ムンギアは、そのパンチを打つフォームも体のバネも理想的で素晴らしい。最高のボクサーです。実際、バネのありそうな体はしているけれど筋肉、パワーなら僕が上回っているかなと」 実は、これが3度目の睨み合い。 ムンギアがまったく何もせずに名ばかりだった公開練習、記者会見、計量と、これまで3度、井上は王者と顔を合わせ、その度にフェイスオフを求められたが、井上は、飲まれるどころか逆に飲んでかかっていた。 前日の公式記者会見では英語でスピーチした。 「試合よりも緊張した」という。 渡米前から英語でのスピーチは考えてきた。現地サポートのスタッフに添削してもらって「ほぼ書き換えてもらった」ものを丸暗記。自己紹介、今回のマッチメイク、現地でのフォローなどに尽力してもらっている関係者への感謝、ムンギアへのリスペクト、そして「ベルトは日本に持って帰る」という主張を英語で喋った。 「後でメディアの人が『なかなか上手い英語じゃないか』と褒めてくれました。『なんだ英語がわかるのか』と、いきなり話しかけられてきたのには困りましたが(笑)」 度胸試しは、それで済んだ。 お返しにとばかりムンギアも「ベルトは日本に持ち帰らせない」とコメントしたが、海外ボクサーにありがちな“トラッシュトーク”はない。 スペイン語を英語に通訳し直す手間もあるのかもしれないが、「挑発もしてこないし、いい奴っぽい」と井上が、ふと友情を感じてしまうほど。 そういうボクサーこそリングに上がれば不気味なのだが、挑発に振り回されることなく、いらぬ気を使わずに平常心でリングに上がれるのはありがたい。