2度の大雪が誤算だった「かいぼり」 井の頭公園100年に合わせあと2回実施へ
花見客でにぎわう東京・井の頭公園。先月まで、池の水を抜く「かいぼり」が行われ、池の中から大量の自転車が出てきたことなどで話題となった。今は池の注水も終わり、元通りの水がたゆたい、ボートが浮かぶ姿に戻っている。公園に訪れた市民からは「水質がきれいになったんだって」「水抜いたんだよね、あまりきれいになってない?」「大きい魚みたいな生き物はいなくなっちゃったんだね」などの声が聞かれ、関心の高さがうかがえた。「かいぼり」の成果はどうだったのだろうか。
水抜き、天日干し、生物捕獲、注水
「かいぼり」とは、もともとは農業のための年中行事で、農作業を行わない冬に、灌漑用のため池の水を抜き、池底を1か月ほど干したり、ヘドロや土砂を取り除く作業のことをいう。井の頭公園では、2017年の開園100周年に向けて、池の水質改善や外来生物の駆除を目的に、あと2回「かいぼり」を行う。「かいぼり」は都立公園としては初めてという。 今回の「かいぼり」は、1月18日から「水抜き」、それと並行して1月29日から池底の「天日干し」を2月23日まで実施。外来生物の捕獲作業などは1月25日から2月23日まで行った。そして、2月24日から3月8日にかけて注水し、池に水を戻していった。保護した在来生物の再放流は3月9日、15日に行われた。
「生態系の回復」と「水質改善」が目的
「かいぼり」は、東京都や武蔵野、三鷹市など自治体と民間でつくる「井の頭恩賜公園100年実行委員会」が主催。実際の「かいぼり」の作業はNPO法人「生態工房」を中心に行った。今回の「かいぼり」はどれくらいの効果があったのか。東京都西部公園事務所の大道和彦工事課長は「生態系の回復にしても、水質の改善にしても、現段階では断定的に言うことはできない」という。 「かいぼり」の大きな目的は「生態系の回復」と「水質改善」。まずは、生態系を元の池の状態に取り戻すために、池の水を抜いて、モツゴやニゴイ、ギンブナ、テナガエビなどの在来生物は保護し、オオクチバスやブルーギル、アメリカザリガニやミドリガメなどの外来生物は排除する作業を行った。