【ごみの開封調査】マナー向上機運高めて(12月17日)
福島市は分別回収の徹底などを目指し、ルールを守らずに出されたごみの開封調査を来年3月にも始める。県内初の試みで、悪質と判断すれば事業所名や氏名を公表する方針だ。プライバシー保護に万全を期した上で、市民にごみ捨てマナーの向上と排出削減を促す必要がある。 開封調査は、市廃棄物処理条例を改正して開始する。回収業者が未分別などの違反を見つけた場合、ごみ袋に警告シールを貼る。1週間ほどたっても放置されたままなら、市職員が中身を確認する。捨てた事業所や個人を書類などから特定できれば訪問指導し、改善が見られない場合にホームページで公表するとしている。 市は企業や店から出た事業系ごみに特に関心を払っている。繁華街では家庭用ごみ集積所への不法投棄が目立つ。動物に袋を破かれ、中身が散乱する例も少なくない。市は今年1月から3月にかけて違反ごみにチラシを貼って警告したが効果はみられず、より強い対応が必要と判断した。
開封作業は市職員が一般市民の目に触れない場所で行う。個人情報の保護に万全を期すには、守秘義務と信頼性を担保した仕組みを構築し、市民に分かりやすく周知する取り組みが欠かせない。 福島市によると、全国では京都、横浜、千葉、札幌の各市などが開封調査を導入している。千葉市は2011(平成23)年度に設けた結果、分別意識が進み、家庭ごみの排出量はピーク時の3分の2になったという。市の担当者は「開封調査を含めた総合対策の成果だ」と強調している。 福島市内では、可燃ごみ処理施設「あぶくまクリーンセンター」の新施設の運用を2028(令和10)年に始める予定だが、処理量は人口減を見据えて現在の半分に設定している。もう1カ所のあらかわクリーンセンターと合わせても市全体で3割減となる。一方、2022年度の環境省調査では、福島市民1人当たりの1日のごみ排出量は1080グラムで、市が目標とする890グラム以下との差は埋まっていない。
現状のままなら一度は導入が見送られた処理有料化を再検討する動きも出てくるだろう。分別ルールは新たな生活負担を回避する上でも厳守したい。(渡部総一郎)