「教育実習と重なったら…」全国で進む教員採用試験前倒し、学生に広がる不安 「5月実施」への対応は「簡単ではない」 大学側も困惑
教育実習の日程変更、課題多く
大学側は教育実習の日程を変更するかどうか迫られるものの、課題は多い。
長野大は2年前から、学生の負担軽減を目指して3年次の実施を検討中だ。片岡教授によると、教職課程の見直しや受け入れ側の学校との調整が必要といい、「今後の検討課題だ」とする。 松本大(松本市)全学教職センター長の吉原寛教授は、教育実習と採用試験の時期が重なるのは「学生の負担が大きくなり、望ましいことではない」と指摘する。 試験の早期化に合わせ、実習を前倒しすることも検討しなければいけないとする一方、その場合には1年次から教職課程を履修する必要があるという。「学部のカリキュラムとの兼ね合いもあるため、簡単ではない」とする。
長野県教委は本年度の採用試験について、大学のカリキュラムとの兼ね合いなどを考慮して日程を早めなかった。ほぼ例年通りの今月29、30日に実施する1次試験の志願者は、小中学校と特別支援学校が前年度比55人減の1427人、高校は同1人増の525人。県教委は、他県では前倒ししても志願者が増えない事例があるとして「日程だけが志願者の増減に大きな影響を及ぼすわけではない」との認識を示す。
教育委員会「大学側と協議必要」
ただ文科省は採用試験の早期化に加え、複数回の実施も要請している。全国では大学3年で受験できる制度の導入も増え、採用試験の在り方はさらに多様化しそうだ。 武田育夫教育長は11日の記者会見で「日程全体をもう少し早めることを視野に検討したい」と言及。大学と教育実習の時期を協議する必要があるとの認識を示し「学生の過度な負担にならない日程の在り方を考えたい」と述べた。