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阪神・秋山拓巳 陽の当たる場所へ

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150キロを超す剛速球は持ち合わせていない。正確無比なコントロールとキレ味鋭い変化球で着実にアウトを重ねていく。その安定感に首脳陣も信頼を置く。だが、ここまでの道のりは、山あり谷ありだった。そして今季、もう一度、陽の当たる場所へと歩き出している。 文=田中政行(デイリースポーツ) 写真=BBM  沼一面で育つ蓮の花は、白やピンクの花を咲かせる。底の見えない地に深く根を伸ばし、ひたむきに光を求めて葉を広げる。いつでも陽の当たる場所を探し求めてきたのだ。 秋山拓巳はプロで11年目のシーズンを迎えた。過去10年の成績は27勝30敗。光り輝いた記憶とともに、苦しんだ記録が交差する。そして今年また、不屈の男は鮮やかな花を咲かせようとしている。 2月のキャンプから''「奪い取るつもりでいく」''と強い覚悟で臨み、開幕先発ローテーションの一角に食い込んだ。7月14日のヤクルト戦(甲子園)で今季初勝利。ここから4連勝など安定した内容で、チームを勝利に導く投球が続いている。  そんな秋山のプロ野球人生は、涙からのスタートだった。2009年10月29日。ドラフト4位で阪神から指名を受けた。会見で見せたのは大粒の涙。 「1位だと思っていた」と発言したことから、各メディアで『秋山・悔し涙』と報じられた。だが、真相は少しだけ違った。 「悔しい気持ちもありました。でも正直、ホッとしたというのが一番だったんですよ。みんなに少しだけ恩返しができたかなって」  松坂大輔(現西武)にあこがれ、小学1年生で本格的に野球を始めた。野球経験のなかった父・正二さんは息子の夢に付き合うため、参考書を買って指導法を猛勉強した。投球に役立つ柔軟体操から、技術は経験者に聞いて回った。父と2人、毎晩奏(かな)でた空き地でのノック音が、秋山の原点だ。父が笑って当時を回顧する。 「最初は野球の本で握りを覚えさせたんですよ。腹筋、背筋は毎日の日課。柔軟体操で股割をさせていたんですけど、上から私が乗るんですわ。そのたびに泣いてましたけどね」  生後2週間で小児ぜんそくを患うと、4カ月と7カ月には気管支炎で入院。あまりにも病弱だったため、母・みゆきさんは仕事を辞めた。料理では丁寧に油を抜き、太りやすい体質の息子を気遣い続けた。二人三脚……いや“三人四脚”の夢が結実したことで、あふれ出す感謝の気持ちが涙となって流れたのだ。  両親だけじゃない。このころ、運命的な出会いもあった・・・

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  • 阪神・秋山拓巳 陽の当たる場所へ
  • 高卒1年目で先発を任され、初勝利を含む4勝を挙げた。順風満帆のプロ人生が待っていると思っていたが……
  • 二軍にいることが長く続いたが、腐ることなく地道に練習を続けたことをコーチ陣は見ていた。2016年に1539日ぶりの勝利を挙げた
  • 今季は右ヒザの痛みも消え、しっかりと体を仕上げて臨み先発ローテを守っている

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