伊藤宏樹、登里享平が背負った川崎伝統の「2番」を継承したパリ五輪世代の19歳。飄々とした次世代CB高井幸大の想い
リーダーシップを取ってCBの軸へ
今オフ、登里享平、山根視来らこれまでチームを支えた選手たちが移籍した一方、山本悠樹、三浦颯太ら即戦力を加え、新時代を築こうとする川崎で、伝統の「2番」を継承したのがアカデミー育ちの高井幸大だ。 【PHOTO】リーグの覇権奪回そして悲願のACL制覇を目指す川崎が、新体制発表会を開催 川崎の2番と言えば、これまで伊藤宏樹(現強化部)、登里らが長年、背負ってきたクラブとして大事な背番号である。それを19歳で託されたのだから、高い期待値が窺える。 もっとも常に飄々とし、動じない、いわゆる“大物感”があるのが高井の良いところ。 「気負わずに頑張りたいです」 そう語る表情にも緊張やプレッシャーの色はないようだ。 ただし先輩の登里からは熱い想いを託されたという。 「電話をいただいて、ピッチの上以外では、ふざけて話すことも多いんですが、真面目に話していただきました」 川崎アカデミーで育ち、2022年2月には高校生ながらプロ契約。昨季はリーグ14試合でピッチに立ち、アルゼンチンで開催されたU-20ワールドカップにも出場した。 CBながら川崎育ちらしくクサビの質、タイミングは抜群で、驚かされるのは、相手の動きを読みながらパスの出し入れを調整し、全体をコントロールできる点だ。 昨季も「短いパスを入れたら相手が食いついたり、コースが空いたりするので、じゃあ今度はこっちに出して見たりだとか、相手を見ながらやっていますね」と語っていたのも印象深い。 ただ昨季は一時、定位置を掴んだが、厚いプロの壁も痛感した。その経験を生かして、今季の目標は明確にこう口にする。 「常に試合に出ること」 そして最終ラインの軸になることだ。 「リーダーシップを取ってやっていきたい」 新たなナンバーを背に最終ラインを牽引する存在へ、パリ五輪世代の大器に注目だ。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)