中国、台湾産ハタの輸入一部再開を発表 専門家「選挙への介入」
(台北中央社)中国で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)は22日、台湾の特定企業を対象に高級魚ハタの輸入を再開すると発表した。中国は台湾で生産された一部石油化学製品について、関税優遇措置を来年元日から停止すると21日に発表したばかり。台湾で来年1月13日に総統選が投開票されるのを前にした中国の動きに、専門家は「選挙への介入」との見方を示している。 中国政府は21日、台湾製のプロピレンやパラキシレンなど12品目を対象に海峡両岸経済協力枠組み取り決め(ECFA)に基づく関税優遇措置を停止すると発表。国台弁は同日、両岸(台湾と中国)双方は「一つの中国」を巡る「92年コンセンサス」を基礎として、話し合いを通じて各種問題を解決可能だと表明した。台湾産ハタの輸入は昨年6月から、使用を禁止している薬物の検出を理由に停止していた。 シンクタンク、中華経済研究院第1研究所の王国臣助研究員は22日に開かれた座談会で、台湾の一部製品への関税優遇措置の停止は「明らかな選挙介入」だと指摘。対象となった12品目は中国向けの輸出が全体の約8割を占め、中国市場に大きく依存しているとし、これらの品目は「選び抜かれたもの」だとの見方を示した。また、中国の統一戦線は硬軟混ざった「両手戦略」を採用しており、「一方で圧力を加えながら、もう一方で懐柔を図っている」と説明した。 陽明交通大学の邱奕宏副教授(准教授)は、国台弁が「92年コンセンサス」を基礎として話し合いを通じて各種問題を解決可能だと表明したのは、明らかに「経済的威圧」だとの見解を示した。 (陳鎧妤/編集:名切千絵)