【ライブレポート】AKB48第二期黄金時代はここからだ!新劇場&新公演をお披露目、鞘師里保が振付を手がけた楽曲も
AKB48の結成19周年記念日である昨日12月8日に、グループの活動拠点である東京・AKB48劇場がリニューアルオープン。秋元康が書き下ろした劇場オリジナル新公演「AKB48 18th Stage『ここからだ』」で劇場のこけら落としが行われた。 【写真27枚】リニューアルオープンしたAKB48劇場や新公演初日のステージの様子 ■ オープニングセレモニーに高橋みなみ登場 劇場のロビーで行われたオープニングセレモニーには現役メンバーを代表して4代目AKB48グループ総監督の倉野尾成美や、小栗有以、佐藤綺星、八木愛月が参加。さらに初代AKB48グループ総監督の高橋みなみがスペシャルゲストとして登場した。倉野尾は「やっと私たちの劇場が戻ってきました。新しくなった劇場とともに私たちもここで成長します」と語り、小栗は「新生AKB48を作る自信と愛と覚悟を持って、初日を迎えたいと思います」とコメント。ゲストの高橋は「AKB48劇場は今まで在籍してきたすべてのメンバーにとって始まりの場所、ホームなので、最初改修工事が始まると聞いたときは少し寂しさもあったんですけど、今日完成した劇場を見て、今のメンバーにとって素晴らしい環境になったなと思いました。まさに“ここから”AKB48の歴史が新たに始まるんだなと思っています。初日精一杯楽しんでください!」とメンバーたちを激励した。 さらに高橋は「東京ドームを目指す」という目標を掲げる倉野尾に対して「ぜひ行ってください! 夢を掲げる、言葉にするのがどれだけ大変なことか、私も総監督で経験したんですけど、誰かがスタートを切らないとそこに向かって走り出せないと思います。劇場公演は秋元先生からの手紙であり、AKB48を新しいフェーズに連れていってくれるものだと思うし、リハ中に歌詞を受け止めて『自分たちの曲なんだ、ここから始まるんだ』『東京ドームに立ちたい』と思えたことは素晴らしいことなので、ぜひ叶えてほしいと思います」とエールを送った。セレモニーでは倉野尾、小栗、高橋の3人でテープカットを行うも、小栗だけなかなかテープが切れずに慌てるひと幕も。無事にテープカットが終わると、笑いと祝福の拍手が沸き起こった。 今年9月に始まった約3カ月の全面リニューアル工事を経て、エントランスから場内まできらびやかな内装へと一新されたAKB48劇場。劇場の象徴である2本の柱とステージにはLEDビジョンが設置され、楽曲と連動した演出で劇場公演が一層華やかに。さらにロビーにも幅6m、高さ2.25mの巨大なLEDビジョンを用意。メンバーを紹介する映像やミュージックビデオが上映されるほか、劇場内の公演の様子を楽しむことができる。またロビーには周年ごとにピンクのテープが貼られてきた柱が展示され、昨日そこに19本目のテープが加わった。エントランスから壁写真が飾られている廊下にかけては、衣装や歴代のトロフィー、楯が入ったショーケース、フォトスポット、旧劇場のジオラマなども新たに設置。リニューアルオープン日の昨日は旧劇場で最初に行われた公演「PARTYが始まるよ」の衣装などが展示された。 ■ 新公演のステージに涙するメンバーも ついに初日を迎えた「AKB48 18th Stage『ここからだ』」は、「チームA 7th Stage『M.T.に捧ぐ』」以来約9年ぶりに秋元が書き下ろした18作目のオリジナル公演。開演前から会場は熱気と大きな期待感で満ちていた。場内が暗転すると、ステージ上のLEDスクリーンでカウントダウンがスタート。旧劇場で行われてきたオリジナル公演17作を振り返る映像が流れたのち、倉野尾が新劇場の扉の前で「ここからだ」と呟く姿が映し出されたのを合図に、この日お披露目となった新しい「overture」が鳴り響いた。 秋元が「AKB48はここから第二期黄金時代を迎える」という思いを込めて名付けた「ここからだ」公演の1曲目を飾ったのは、公演タイトルを冠した楽曲「ここからだ」。“かつて栄えた国の復古”とAKB48を重ね合わせた壮大なバラードを、メンバーは王朝をイメージした白のクラシカルなマントとロングドレスに身を包んで高らかに歌い上げた。新公演初日のステージをようやく迎えることができたことに思わず涙するメンバーやファンの姿も。場内が感動的なムードに包まれる中、メンバーは黄色のミニスカート衣装に素早く着替えると、アップテンポなナンバー「恋愛カンニング」「ロマンティック男爵」、新劇場での再出発と成長を誓う楽曲「劇場へ ようこそ!」を立て続けに披露。荘厳な幕開けから一転、AKB48らしいエネルギッシュなパフォーマンスで観客を盛り上げた。 ■ 多彩な楽曲を詰め込んだユニットパート 冒頭のMCでは、倉野尾が「大変お待たせしました! 『ここからだ』公演、ついに、ついに、ついに、始まりましたー! 思い起こせば1年前、2023年の12月8日に本公演は初日を迎える予定でしたが、皆さんご存知の通り2度の延期があり、“やるやる詐欺”とまで巷では言われていたみたいなんですが、ようやく初日を迎えることができました!」と喜びを噛み締めながら挨拶。「約9年ぶりの新公演、しかも新劇場です! 私たちメンバー全員にとって、初めてのオリジナル公演になります。AKB48の新たな章が始まるのは“ここからだ”という強い気持ちを持ってパフォーマンスしますので、本日もよろしくお願いします!」と意気込みを語った。 続くユニットパートではAKB48のエースである小栗、山内瑞葵、千葉恵里がキュートさの際立つフリル衣装で登場。ロリポップキャンディ風のステッキを使いながら「Lollipop」を披露し、甘い歌声と笑顔でファンの心をつかむ。「風の待ち伏せ」では佐藤、水島美結、山崎空、秋山由奈の若手メンバー4人がフレッシュなパフォーマンスでさわやかな風を吹かせ、大人びた曲調の「クリスマスリング」ではダンスに定評のある倉野尾、下尾みう、鈴木くるみ、永野芹佳、山口結愛の5人がしなやかなダンスで観客を魅了した。本公演唯一のソロ楽曲「2月のMermaid」を託されたのは18期研究生の八木。AKB48の新エースがステージ上できらびやかな存在感を示した。赤いラブリーな衣装で登場した伊藤百花、向井地美音、村山彩希は「振り向きざまのキッス」を披露し、19期研究生の伊藤をセンターに据えたかわいらしさ全開のパフォーマンスを展開。晴れやかな王道アイドルソングからクールなダンスナンバーまで多彩なステージが繰り広げられた。 公演終盤には、シリアスなナンバー「夜中過ぎのアウトロー」で力強いダンスパフォーマンスが炸裂。「奇跡が消えても」ではステージ上のLEDスクリーン内でミラーボールが回り、場内がダンスホールさながらの様相に。さらにメンバーは「シクラメンが咲く頃」をはかなくも優しい表情で歌い上げ、雰囲気が大きく異なる3曲でラストスパートを畳みかけると、「まだ見たことのない景色へ」で本編を締めくくった。 ■ 42人で目指すステージは東京ドーム アンコールでは開演ブザーとともに再び幕が開き、AKB48の象徴である赤チェックをメインとしたロック風衣装に身を包んだメンバーが登場。鞘師里保が初めて振付を提供した「緞帳を上げてくれ!」で勢いよくライブが再開した。「ここでもう一度夢を見ようじゃないか」という歌詞を熱く体現した気迫のパフォーマンスを展開したメンバーは、続いてさわやかで疾走感あふれるナンバー「そんなに好きだったら」を披露。場内のボルテージをより一層引き上げた。 倉野尾は「秋元先生が今のAKB48に公演を書いてくださり、無事に初日を迎えられるようにとたくさんのスタッフさんが愛を持って支えてくださって、何度も延期してしまいましたが、こうしてこんなにもたくさんの方が初日を楽しみに待っていてくださったから、今日初日が迎えられたと思います。心から感謝しています」と目を潤ませながら感謝の思いを言葉に。「今ここに立っている初日メンバー16人に加え、これから初日を迎えるメンバーも含めて42人全員でAKB48です。この42人で目指すステージは、東京ドームのステージです! 決して簡単な道のりではないことはすごくわかっています。メンバー1人ひとりがしっかり気持ちを持ってこれから活動していく先に、きっとそのステージがあると思います。“やるやる詐欺”と言われないように、この新劇場とともに一歩一歩歩んでいきたいと思います」と決意を述べた。そして最後、メンバーは全員で「Hungry love」を熱唱。惜しみない拍手が送られる中で新公演初日の幕が下りた。 ■ 秋元康 コメント AKB48という伝説があって、それからまた新しい伝説を作るんだという想いで「ここからだ」という公演タイトルを考えた。詞を書くときに「今のAKB48の現状、今のメンバーの中で何ができるのか」いうことがテーマだった。昔のまま踏襲してもしょうがないし、でも残さないといけないものもあるし、そのバランスが一番難しかった。このAKB48劇場っていうのはお客さんと一緒に作っている。今日ここに来たかったのは、やっぱり「お客さんがどういう反応をするだろう」っていうのが知りたかったから。それが次につながると思う。昔の公演で最後の曲が『桜の花びらたち』で、その紙吹雪が落ちたまま暗転になってアンコールが始まるんだけど、その時に当時の支配人がモップを持って掃除し始めるとお客さんから「モップ、モップ」ってモップコールが起きるようになった。そういうのはさ、見ないとわからないから。新劇場もまたファンの人が新しい何かを作ってくれると思う。 (東京ドームという)目標があるとそこに向かえる。2005年の11月後半くらいの劇場をまだ作っているとき、みんなを集めて「君たちはこれから東京ドームに行く、紅白に出る、レコード大賞もとる」と言ったけど誰も信じなかった。でも「そういうことがあるから頑張ろう」となる。今のメンバーは「黄金期を過ぎて入った私たちですから…」と思っているかもしれないけど、世の中には想定外のことや「まさかあそこから蘇るとはね」ということがたくさんあるから、それを信じてほしいなと思う。(本番を観て)観終わった感想と「とにかく黄金期を君たちが創る、先輩たちから受け継いだバトンを次の世代に渡す役割があるんだ」というのはメンバーに伝えたい。AKB48ってすごく良い形でバトンが渡されて19周年まで来たから、また次にバトンを渡していくことが大事。小さな劇場で粛々とやっていた公演で、1人でも多くファンが多くなっていけばいつか5万人にたどり着くと思う。僕の勝手な考えで言うと、阿久悠さんが仰ったことなんだけど、最近の音楽は街なりがしないと。やっぱりみんなヘッドホンを着けてる。昔は有線放送とかパチンコ屋さんとか、そういうところで流れたじゃない、ヒット曲が。だからAKB48の第二期黄金時代っていうのは、カラオケ屋さんに行くと日々みんなが歌ってるとか。売上がどうの順位がどうのこうのっていうよりも、本当にみんなが歌ってくれるかどうかにかかってるんじゃないかな。「これがAKB48だ」っていろんな人に見つかったら東京ドームへ行ける。 ■ セットリスト □ AKB48 18th Stage「ここからだ」2024年12月8日 SE. overture 01. ここからだ 02. 恋愛カンニング 03. ロマンティック男爵 04. 劇場へ ようこそ! 05. Lollipop / 小栗有以、千葉恵里、山内瑞葵 06. 風の待ち伏せ / 佐藤綺星、水島美結、山崎空、秋山由奈 07. クリスマスリング / 倉野尾成美、下尾みう、鈴木くるみ、永野芹佳、山口結愛 08. 2月のMermaid / 八木愛月 09. 振り向きざまのキッス / 向井地美、村山彩希、伊藤百花 10. 夜中過ぎのアウトロー 11. 奇跡が消えても 12. シクラメンが咲く頃 13. まだ見たことのない景色へ <アンコール> 14. 緞帳を上げてくれ! 15. そんなに好きだったら 16. Hungry love ※山崎空の「崎」は、立つ崎が正式表記。