スイス中銀が利下げ、フラン高抑制でさらなる措置を警告
(ブルームバーグ): スイス国立銀行(中央銀行)は26日、3会合連続の0.25ポイント利下げを実施した。スイス・フラン高抑制のため必要であればさらなる措置を講じると警告した。
市場にはスイス中銀が米当局に追随して0.5ポイント利下げを行うのではないかとの憶測もあったが、当局者は安定したペースを維持し、政策金利は1%となった。ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト大半の予測通りだった。
退任するヨルダン総裁は決定後の記者会見で「本日金融緩和策を実施したのは、インフレ圧力の低下を考慮したものだ」とし、「中期的な物価安定を確保するためには、今後数四半期のうちに政策金利のさらなる引き下げが必要になる可能性がある」と述べた。
10月1日に就任するシュレーゲル次期総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューでさらに明瞭に、中銀はあらかじめコミットすることはしないものの「12月に再び評価を行うが現在の状況から判断すると、さらなる利下げが行われる可能性が高いと思われる」と語った。
中銀の政策手段について問われたシュレーゲル氏は、現在の水準に基づけばSNBがさらに対策を講じる「余地はまだある」と強調した。
同氏は現在のフラン高が行き過ぎかどうかについてはコメントを避けたが、その根強い上昇が「一部のスイス企業にとって問題」になっていることを認めた。
今回は、通貨高が物価低迷と輸出業者への打撃につながる恐れがあることを踏まえ、フラン上昇を抑える中銀の決意と、そのための手段を温存しておく必要性のバランスを取った決定となった。
スイスの政策金利は世界でも最低水準であるため、中銀が為替市場と長期にわたって対峙(たいじ)しながら金利を引き下げる余地は限られている。
0.5ポイント利下げまたは据え置きを予測する少数派もあったが、約13年間にわたる任期中、重要な局面で市場を驚かせてきたヨルダン総裁の最後の決定は0.25ポイント利下げだった。