資金不足「あしなが育英会」奨学金 課題が山積 学生たちが募金活動「誰もが夢を追える世の中に」
広島ニュースTSS
病気などで親を亡くした子どもを支援んする「あしなが育英会」の奨学金が資金不足に陥っています。学ぶ機会を失わせてはならないと学生による募金活動が行われました。 【大学生たち】 「夢をあきらめることが日常にならないように、たくさんの支援が必要です」 19日、雨の中広島市内で切実な思いを訴えながら募金活動を行っていた若者。 彼らは「あしなが育英会」から奨学金を受けている、大学生や高校生のボランティアです。 「あしなが育英会」は病気や災害などで親を亡くしたり、親に障がいのある子どもたちを奨学金で支援しています。 県内の奨学金の申請者は物価高の影響で生活困窮が進んだことに加え、昨年度から返還が必要なくなった「全額給付型」に変わったことで急増しました。 一方で、奨学資金が追いつかず、2020年に100%だった採用率は、昨年度以降50%を下回る状況になっています。 「あしなが育英会」は支援を広げる方法を探っていますが、来年度以降も申請者が増えることが予想され、課題が山積しているのが現状です。 【広島工業大学3年・小泉光悠さん】 「急に当たり前の日常が失われた高校生なども多くいて、最近は顕著に出ている。環境に左右されずに自分の持っている夢を追い続けられるような世の中にしてあげられるよう支援してもらえたらありがたい」 募金活動は今月26日と27日にも広島市内の3カ所で実施されます。 <スタジオ> 希望者の半数近くが給付を受けることができない。 その背景には、物価高騰も要因としてあるわけですが、今年7月、全ての奨学生の保護者およそ5200人を対象に物価高の影響を調査するアンケートを行いました。 「昨年と比較して収入に変化があったか」という質問では、85%以上の人が「収入はあがっていない」と回答。 「収入と物価のバランス」については、94%の人が「収入が物価の上昇分をカバーできていない」と答えました。 また保護者の意見として「認知症の母の介護で思うように就業できないところの物価高」「娘の進学のため貯金したいが思うようにいかない」「光熱費は気絶しそうな金額。食事の品数、量は減り牛乳も娯楽となり買えなくなった」などの悲痛の声が上がりました。 さらに募金活動を取材した山北記者によりますと、奨学金を受けている学生からも「物価高の影響で食材や日用品など買わざるものを得ないものさえも買えない」「税制上の親の扶養から外れてしまういわゆる”103万円の壁”が立ちはだかり、学費や生活費を稼ぎたくても稼げない」「就職活動でも興味がある企業でも交通費がかかる企業は受けられず、選択肢を狭めるしかない」などと、やり場のない声が聞かれました。
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