TGIフライデーズ名古屋出店から1か月 ワタミグループ新たな市場開拓へ/愛知
■首都圏、関西圏、中京圏のマーケット形成 TGIフライデーズ名古屋店をオープンする以前、展開していた12店舗のエリア内訳は、首都圏が11店、関西圏が1店。そのうち関西圏に出す1店は、大型レジャースポット・ユニバーサルスタジオジャパンに隣接する、観光客向けの店舗となっている。 一般的な集客を目指すという意味では、関西圏への進出は未だ不十分に思われる。「ユニバーサルシティへの出店は、梅田エリアに2号店出店を見据えた上での出店であり、今後も梅田エリアは出店の候補であることは変わりません」と菅谷氏。 大阪・梅田2号店の出店前に、現実となった中京圏への進出。関西市場の地盤を固めることなく、急ぎ中京圏への出店を決めた理由はどこにあるのだろうか。そこには、ワタミグループ全体の業績が絡んでいる。
■ワタミ居酒屋業態は苦戦。今後の展開は? ワタミグループは5月2日、2014年3月期の連結業績予想を発表。昨年10月時点の予想であった12億円の黒字から下方修正し、49億円の赤字に減額した。1996年の上場以来、初の赤字転落となり、同社の主力業態である外食事業の苦戦が大きく影響した形だ。 店舗の約9割を占める「和民」「わたみん家」といった低価格路線の業態の売上げが落ち込む一方で、TGIフライデーズは順調に業績を伸ばしてきている。景気回復の効果もあり、外食時に“日常よりも少し贅沢な食事をしよう”と考える消費者が増加。それも追い風となり、TGIフライデーズのような比較的単価の高いメニュー、それに付属する個性的な内装やサービスを展開する業態が、成果を上げている様子だ。 TGIフライデーズ名古屋店では、オープン後4月の売上が計画比160%超を記録。同社では、客単価が手掛ける業態内で過去最高の炉端焼き店を、3月に東京・銀座に開業するなど、新たな需要の取り込みを急いでいる。 菅谷氏は「中京圏にまだ出店の余地はあると考えております。既存の主力業態である『和民』、『わたみん家』だけでなく、首都圏を中心に展開している、『GOHAN』、『炭旬』、『銀政』、『ワンズガーデン』などの新業態も立地を厳選しながら出店していき、首都圏、関西圏に次ぐ、ドミナントを形成したいと考えております」と今後の展開における、中京エリア進出の重要性を語った。今回のTGIフライデーズ名古屋店出店も、消費者の動向変化に応じた新たな市場開拓の一環と言えるだろう。