60歳会社員、この春に定年で退職金「2000万円」が入る予定です。老後は「NISA」に一括投資して働かない予定ですが問題ありませんか?「老後破産」は避けたいです
「退職したら、退職金も手に入るし、投資で稼いで働かずに暮らしたい」このように、2024年から始まった新NISAなどを活用して退職金をうまく運用すれば「老後は働かなくてもいいんじゃないか」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし、退職金の一括投資には大きなリスクがあり、退職後に働かず収入がなくなると、老後生活に必要な資金が大きくなってしまいます。 そこで本記事では、退職金の一括投資が危険な理由や投資する際に心がけるポイントなどを、60歳で退職した場合のシミュレーションを交えながら解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
退職金の一括投資が危険な理由
退職金の一括投資で考えられるリスクは、主に以下のとおりです。 ・もし運用に失敗すると一気に資産が減少してしまう ・退職後は収入も少なくなり、損失が大きいと老後生活への影響が大きい ・年齢の若い人に比べると、損失を取り戻す時間が少ない 退職時、退職金というまとまったお金が手に入る人もいます。勤続35年以上であれば、退職金が2000万円を超えることも珍しくありません。しかし、いきなり大金を手にすると「早く投資することで運用益が最大化される」といった一括投資のメリットばかりに目が行ってしまい、リスクを十分に認識できないこともあるでしょう。
退職金の運用で大切なポイント
退職金の一括投資にはリスクが伴いますが、インフレを前提に考えると預貯金だけでは心もとないため、投資などによる資産運用を考えることも大切です。ここでは、退職金の運用に大切なポイントを紹介します。 ■退職後の生活設計から、投資目的を考える 退職後の生活設計を考えて、何のために投資するのかを明確にしておきましょう。とくに老後資金が気になるのであれば、どのような生活で、どれくらいの生活費が必要になるのか考えておく必要があります。働き方も含め、思い描く老後の生活スタイルは人によりさまざまです。まずは理想とする老後生活を描きながら、投資の目的を整理してみましょう。 ■長期の投資を前提にする 投資期間は10年以上を想定しましょう。退職した人は、自分の年齢では長期の投資はできないと考えがちです。しかし2022年に公表された簡易生命表によると、平均寿命は男性が約81歳、女性は約87歳であり、現在60歳だとしても投資期間を10年単位で捉えることは可能です。 短期の運用では、投資先やタイミング次第で損失が大きくなることもありますが、運用期間が長ければ長いほど、図表1のように複利効果も強まり安定した収益につながりやすくなります。 図表1