「ただ、ママのもとに帰りたい」9歳の少女の苦しみを繊細かつ強烈な描写で描いたベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作 映画『システム・クラッシャー』
社会に居場所がなくなってしまった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描き、第69回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞をはじめ、ドイツ映画賞など世界各国で37冠に輝いた、映画『システム・クラッシャー』。この度、本作の予告映像とポスタービジュアルが公開された。 監督・脚本は、本作で長編映画デビュー作を果たしたノラ・フィングシャイト。ホームレスのための避難所生活を描いたドキュメンタリーの撮影中に初めて“システム・クラッシャー”と呼ばれる子供がいることを知ったことから、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟などの関係者と綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化した。 本作は、ドイツ本国では2019年9月に劇場公開され、観客動員数20万人突破の大ヒットを記録。日本ではEUフィルムデーズ2021、ドイツ映画祭Horizonte2021でも上映された。本作が高い評価を得たノア・フィングシャイト監督は、2作目『消えない罪』で主演にサンドラ・ブロックを迎え早くもハリウッドへ進出。3作目となる『The Outrun(原題)』はアルコール依存症の克服を描いた作品で、シアーシャ・ローナンが主演・製作を務めた。 ベニーを演じた主演のへレナ・ツェンゲルは、2008年生まれの現在15歳。撮影当時は10歳という若さで、2020年ドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞。ヘレナは本作出演後、トム・ハンクス主演作『この茫漠たる荒野で』に孤児役で出演し、フィングシャイト監督と同様にハリウッド映画デビューを遂げ、第78回ゴールデン・グローブ賞の助演女優賞にノミネートされた。今後はA24製作の『The Legend of Ochi(原題)』でウィレム・デフォー、エミリー・ワトソンとの共演が決定している。 ベニーの救いの鍵を握るトレーナー、ミヒャ役には『西部戦線異状なし』で重英国アカデミー賞ノミネートに輝いたアルブレヒト・シュッフ。さらに、ベニーを担当する忍耐強く愛情深いソーシャルワーカー役をドイツの名バイプレイヤー、ガブリエラ=マリア・シュマイデが演じる。 そしてこの度、ニーナ・シモンの名曲「Ain’t Got No, I Got Life」が印象的な、本作の予告映像が公開された。ニーナ・シモン自身もアメリカが持っていた様々な矛盾や問題、そして自身の置かれた環境や家族や自分自身への怒りをストレートにぶつけ、一時は音楽業界からも忌避された過去を持つ。本作の主人公・ベニーと、伝説のアーティスト ニーナ・シモンの姿が重なるようにも感じられ、作品への期待が高まる。 映画『システム・クラッシャー』は、2024年4月27日(土)より全国順次公開。
otocoto編集部
【関連記事】
- 本年度アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作 映画『ありふれた教室』が日本公開
- アリ・アスター、ヨルゴス・ランティモスに影響を与えた伝説の監督の4作品を一挙上映 特集上映「ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師」
- 『ニーチェの馬』『サタンタンゴ』のタル・ベーラによる革新的傑作が4Kで蘇る 映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版』
- アルノー・デプレシャンも絶賛した、世界が注目する新鋭・清原惟監督最新作 映画『すべての夜を思いだす』24年3月日本公開
- 「どーもくん」「こまねこ」シリーズなどのアニメーションスタジオ・ドワーフとのコラボレーション映像公開 映画『ボーはおそれている』