おゝとりゲンを演じた真夏竜(カメラ・小林　泰斗）

　１９７４年４月から翌７５年３月まで放送された人気特撮ドラマ「ウルトラマンレオ」が今年、５０周年の節目を迎えました。それまでの「ウルトラマンシリーズ」とは一線を画し、獅子座Ｌ７７星の出身で、人間ドラマに比重を置いた作風となっています。「―レオ」をもって、７１年の「帰ってきたウルトラマン」から始まった「第２期ウルトラマンシリーズ」は終焉を迎えましたが、今回、スポーツ報知では主人公のおゝとりゲンを演じた真夏竜（７４）を取材、半世紀を経ての思いなどを聞きました。このインタビューを全６回の連載としてＷＥＢのみ掲載します。（文中敬称略） 　「―レオ」には主人公のおゝとりゲンに関わる人物として、序盤では藤木悠（大村正司役）、伊藤幸雄（野村猛役）らが、後半には春川ますみ（美山咲子役）、奈良富士子（美山いずみ役）、子役時代の杉田かおる（美山あゆみ役）などが出演していた。そして、もう１人。「ウルトラセブン」で主人公のモロボシ・ダンを演じた森次晃嗣が、防衛チームＭＡＣアジア本部隊長のモロボシ・ダンとして、シリーズ再演を果たしている。 　「共演者の皆さんに会ったのも撮影初日だったかな。森次さんや藤木さん、春川さんとは、ゆっくり話す時間はなかった。収録がビッシリと入っていて忙しくてね。話をしている暇なんてないんですよ。森次さん、藤木さんには『おはようございます』とあいさつして、すぐに撮影に入って『お疲れさまでした…』そんな感じかな。収録は２、３話持ち。僕は朝から晩までずっとカメラの前でした」 　ここにも、オイルショックに端を発した不況＝制作費カットにより、詰め込むだけ詰め込んでの撮影スケジュールを余儀なくされていたのだ。ウルトラヒーローの先輩（森次）からの演技指導や、心構えの伝授などはなかったそうだ。 　「というか、演技している時間もないくらいの感じですよ。役者としておゝとりゲンを作り込む時間もない。真夏竜本人の感情を出すしかないんです。後年、ファンの人から『実際にお会いしてみると、真夏さんはおゝとりゲンそのものですね』なんて言われましたが、そりゃそうです。私自身なんだから（笑い）」 　撮影当時、森次とゆっくり話すことが出来たのは、北海道ロケの際、撮影が終わってから森次の実家（森次は滝川市出身）を共に訪問した時だった―と振り返る。 　「よく『レオで印象に残っているシーンは何ですか？』と聞かれるんだけど、あんまり覚えていないんですよ。１年間の撮影中、一番印象に残っているのは、森次さんの実家に行った時のことなんですよね。初めてゆっくりと語らった。そんな感じです」 　レオが過酷な特訓を経て、成長していくストーリーで重要な役割を果たしたのが、鬼コーチ、教官役のモロボシ・ダンだった。ゲンは怪獣や侵略宇宙人を倒すために徹底的にダンにしごかれる。しかし、この展開はメインの視聴層だった小学校低学年などには受け入れられなかった。 （協力・円谷プロダクション）＝１９日に続く＝ 　◆ＭＡＣ　Ｍｏｎｓｔｅｒ　Ａｔｔａｃｋｉｎｇ　Ｃｒｅｗ（別名・怪獣攻撃隊）。主要任務は外宇宙からの侵略行為の阻止、宇宙船航行の安全を守る宇宙パトロール隊。南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの上空に、各地域を管轄する本部の宇宙ステーションがあり、地上にもＭＡＣ東京支部などの基地がある。第４０話で円盤生物（シルバーブルーメ）の急襲によりアジア本部は壊滅してしまった。主要航空機は超大型宇宙船のマッキー１号、中型戦闘機のマッキー２号、複座の小型戦闘機マッキー３号。専用車両にマックカー、マックロディーがある。 　◆主題歌は真夏が担当　本作は団次郎（のち時朗）が歌った「帰ってきたウルトラマン」同様、主演の真夏が主題歌を担当した。ただ、第１４話「必殺拳！嵐を呼ぶ少年」からは平野英之が歌う「戦え！　ウルトラマンレオ」に変更された。また、劇中のＢＧＭは、ウルトラマンシリーズでは「―セブン」「帰ってきた―」「―Ａ（エース）」に次いで冬木透が担当した。