男子バレー、サトウ全日本の新采配とは?
「もちろん、清水選手は素晴らしい選手です。ただ、彼のいない間に他の選手が台頭すれば、そこでポジション争いが起こります。競争がすべての選手の成長につながるはずです」(サトウ監督) イタリアリーグで4シーズン、プレーし昨年、日本に復帰した越川は言う。 「監督が外国人だからという違いは感じませんね。選手起用については、我慢するところは我慢してくれるので、選手としては思い切ってプレーできますよね。ただ、サトウ監督の選手交代やタイムアウトの取り方などは、適切な表現かどうかわかりませんけど、ひらめきのようだと思うことがあります。このチームでは、その“サトウ監督が求めること”に柔軟に対応していく選手が必要とされますよね。試合の流れを読んで、自分の役割を理解していないと、監督が常に言い続けている“準備を整えてスマートにバレーボールをしよう”というテーマを実現することができません。交代で入った選手が今日のゴッツ(石島)のように自分の仕事をすれば、問題ないと思いますよ」 サトウ監督は言う。 「この2試合、八子は強力なサーブと、揃ったブロックに対するアタックで。石島はブロック力と、ディグ(相手のスパイクに対するレシーブ)で高い能力をアピールしてくれました。2人の特性を生かし、うまく戦えたと思いますよ」 途中でベンチに下がった八子は言う。 「オポジットは決定力を求められるポジションなので、自分で得点を決められればそれに越したことはないですけど…。状況を見て、無理してブロックされるよりは、リバウンドを取ってつないだり、フェイントを相手の嫌がる選手に取らせたりと、考えて打つようにしています。今は試合に出られるならどこでもやろうという気持ちでいます」 八子に代わって入り、勝利に貢献した石島は語る。 「Vリーグでプレーしている外国人選手、たとえばチームメイトのペピチなどは、どんな風にスパイクの助走に入って、どんな風に踏み切っていたかなぁと思い描きながら練習しているところです。とにかく試合に出るためにはどのポジションでもやる気でいますよ」 このあとも全日本男子はワールドリーグで4試合を戦う。2勝4敗という現時点での成績から、新生全日本を簡単に評価することはできない。ただし、サトウ監督の方針からは固定観念にとらわれず、ありのままの選手を見極めようという姿勢が見える。 主将の山村宏太は言う。 「勝敗に関わらず、監督はまず、真っ先に選手の働きを評価してくれます。そうやってきちんと評価をしてれるとわかれば、選手の気持ちも違いますよね」 スタートを切ったばかりの新生全日本。今後の動向にも注目したい。 (文責・市川忍/スポーツライター)