テレビ朝日開局65周年記念ドラマプレミアム「終りに見た街」制作会見に出席した大泉洋

＜ニッカンスポーツ・コム／芸能番記者コラム＞ 　大泉洋（51）が出席した、テレビ朝日開局65周年記念ドラマプレミアム「終りに見た街」制作会見を取材した。 　同作は太平洋戦争がテーマだ。かの戦争体験者は高齢化し減少しているが、世界から戦争がなくなることはなく、今も実際に起きている。おそらく“若い世代への継承”の意味から、同局はこの会見に大学生を招待。試写会から参加させ、会見では大泉洋との質疑応答を設けた。 　これは記者の勝手な思い込みだったが、質疑応答はこのドラマに関する内容だと思っていた。だが、学生からは「疲労回復方法」「就職活動での自己アピール方法」など、実に現実的な内容となったのだ。 　だがそのおかげで、大泉洋という人間の核となる部分を垣間見ることができた。「とにかく笑わせたいとしか思っていない」。この一言が全てだと感じた。これは前述した「就活での自己アピール」について聞かれた際の返答だが、「余計なことは考えていない。自分でもどうしてそこまで勝負しなきゃいけないのかと思うこともあるけど、例えば、ハリウッド映画のオーディションでも笑わせたい。それで落ちてもいい。笑わせに行かなかった自分を後悔するのがイヤだから」と力説した。 　だが、この学生は「就活で笑わせるなんて無理。今大泉さんを笑わすのも無理ですから」と反論。この学生が言うのももっともだ。　これに大泉は「試験官を笑わせたら勝ちだよ！」としつつも「でも落ちて私のせいにしないでね」と笑いを挟ませ、「私の時代は就活氷河期。ちょうどテレビに出始めていたのでそのまま逃げやすい環境だった。ごめん、就活のアドバイスはできないわ」と、最後は自らがへりくだるかたちで会話を終わらせたのも大泉らしさを感じた。 　そして会見終盤。「今、自分にできることで小さくまとまって欲しくない。就職というとどこかで働くイメージだけど、もっと違うアプローチで進んで欲しい」と再び力説。「私はラッキーだったけど、“今はまだ楽しんでいいかな”があったので、そういう気楽さがあってもいいのかなと思う」と続け、「今は長く働くことも許されない時代でしょう。楽しかったから朝まで芝居の稽古もできたし、短パンで北極圏にもいけた。できないと思わず、突拍子もないことをやって欲しい」と魂のエールを送ったのだった。 　そう言いつつも「もし自分だったら」を問われると、「それは大企業での安定でしょう」とし、日大芸術学部の生徒や監督志望の学生の存在を知ると、立ち上がってお辞儀をする。その原動力は「人を笑わせたいから」と実感したのだった。【川田和博】