ステート・ストリート、債券とマネーマーケットファンドのトークン化に取り組む──ステーブルコインプロジェクトの「現在の計画」はなし
ボストンを拠点とする資産運用・銀行大手のステート・ストリート(State Street)は、債券とマネーマーケットファンドのトークン化に取り組んでいるが、ステーブルコインの作成や預金のトークン化をすぐに行う計画はない。同行の幹部が明らかにした。 同行の最高商品責任者であるドナ・ミルロッド(Donna Milrod)氏はフィナンシャル・ニュースとのインタビューで、「ステーブルコインを発行したり、預金をトークン化したりする計画は現在ない」とし、「いつかはそうするかもしれないが、今すぐにその必要性は感じていない」と述べた。7月のブルームバーグの報道では、ステート・ストリートがステーブルコインの作成とトークン化預金の開発について調査を行っているとされていた。 ミルロッド氏はそれらの代わりに、ステート・ストリートは債券とマネーマーケットファンドのトークン化に焦点を当てた2つのプロジェクトを進行中であり、これらは「来年の途中まで」続くと述べた。その目的は、トレーダーが現金を差し入れるために保有資産を清算する必要なく、証拠金として使用できるトークン化された担保を構築することだ。 伝統的金融(TradFi)の大手や世界的な銀行は、伝統的な金融商品、つまり現実資産(RWA)のトークン化にますます関与するようになっており、債券・ファンド・クレジット(信用)・コモディティ(商品)などをブロックチェーン上に持ち込んでいる。このプロセスは、効率性の向上、より迅速で24時間体制の決済、管理コストの低減などの運用上の利点をもたらす見込みだ。 ミルロッド氏はインタビューで、「運用効率だけでは十分ではない。商業的なものである必要がある」とし、「業界は商業的価値がどこにあるかを見極めているところだ」と述べた。 同氏は、例えば2022年の「負債主導型」危機を担保トークンによって回避または軽減できた可能性があると指摘した。この危機の際に担保トークンがあれば、年金基金が現金を調達するために資産を清算する代わりに、マージンコールのためにマネーマーケットファンドトークンを使用できたかもしれない。 ステート・ストリートはまた、デジタル資産業界での存在感を高めており、CoinDeskが8月に報じた通り、スイスを拠点とするタウラス(Taurus)をトークン化パートナーとして選択した。ミルロッド氏はその際、アメリカの規制環境が改善されれば、同行もデジタル資産のカストディを提供すると述べた。 |翻訳・編集:林理南|画像:Danny Nelson/CoinDesk|原文:State Street Works on Tokenized Bond and Money Market Fund; No 'Current Plans' for Stablecoin Project
CoinDesk Japan 編集部