【高校野球】30歳山田祐揮監督の「覚悟」 なぜ熊本国府は九州大会を制する快進撃を見せたのか
センバツ大会選出は確実
山田監督が目指す野球は単純明快だ。大量得点は望まない。バッテリーを中心に守り勝つ。打線は少ない好機を確実に生かす。起用では「守れる選手しか使わない」というポリシーがある。山田監督は2024年春から完全移行する「新基準バット」を見越してきたという。 「(現行バットを使う)23年秋までは苦戦するだろうと見ていました。僕たちの本当の野球は24年からと思っていましたので……。秋はあそこまで勝ち上がれるとは……こちらも驚いています。これまでのバットのように、反発力を生かした『事故』のような長打はなくなる。バッテリーはどんどん攻めていける。ウチの投手陣は制球力が良いですから、ムダな失点をなくせば、ペースに持ち込める。新基準のバットのほうが、勝つ可能性は広がる。流れさえつかめば、どの相手校でも戦える手応えはあります」 ドジャース・山本由伸の投球フォームを参考にしているエース・坂井に、左の変則サイド左腕・植田凰暉(新3年)の2本柱が盤石だ。失点が計算できるのは、ベンチとしてもゲームプランを立てやすい。全体練習の8割は守りに割き、打撃は自主練習で補う。この冬場は新基準のバットを納得いくまで振っている。 熊本国府高は九州大会優勝校により、24年1月26日の選抜選考委員会でのセンバツ大会選出は確実。選ばれれば、春夏を通じて初の甲子園となる。「私たちは、待つのみです」(山田監督)。生徒たちに愛情を注ぐ若き指揮官が率いる熊本の新興勢力から、目が離せない。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール