バレーボール高橋藍、五輪「なぜ勝てなかった」悔しさ今も 国内復帰や兄への思いを語る
バレーボールの新リーグ「SVリーグ」の男子の顔として期待されるのが、パリ五輪代表の高橋藍(東山高-日本体育大出)だ。大学2年から最高峰のイタリアリーグで3季プレーし、今季強豪のサントリーサンバーズ大阪へ移籍、10月11日に東京で行われた開幕戦に臨んだ。23歳の若きエースが、日本に戻った理由や、五輪準々決勝のイタリア戦で接戦の末に逆転負けした思いを語った。※取材は9月29日に実施 【写真】チームメートになった兄の高橋塁選手はこちら -体の状態は。 「切れの良さはまだまだで、きょう(29日)の練習は体を作る、試合感を戻していく感じだった。プレー内容は重要視していなかったけれど、セッターの大宅(真樹)選手やチームのコンビネーションは意識をしてやれた。いい部分やもっと細かい調整が必要な部分も感じられたので、いい練習試合になった」 -東京での開幕戦は既にチケットが完売している。 「すごい期待、楽しみにしている方々が多いんだなっていうのを感じる。すぐに完売したと聞いて、本当にバレーボールが盛り上がるいい流れ、皆さんがバレーを面白いと思っていただいてる証拠だと思った。バレーを大きなものというか、たくさんの方々に知ってもらうためにも、やっぱり自分自身も盛り上げていきたいなとは思う。非常にうれしく思ってます」 -メディア出演や表敬訪問に引っ張りだこになっている。 「行かざるを得ない部分ももちろんある。でも、サントリーサンバーズ大阪の一員として、大阪が盛り上がっていくこと、全国を盛り上げていくことも大切。大阪市や(本拠地の)箕面市であったり、地域の方々から、バレーを伝えていけることが、自分の責任なのかなと思う」 -パリ五輪はイタリア戦で第3セットにマッチポイントを握りながら2-3で逆転負けした。大会を振り返っているか。 「五輪が終わった瞬間にしていた。何がだめだったのかなとか、何がもっと必要だったのかなっていうのもあった。一番忘れていないのは、負けた瞬間の『なんで勝てなかった』っていう部分。(マッチポイントで取れなかった)1点の重みは、常に意識をしていかないといけない部分かなと思ってます」 -イタリア戦は、最後の1点を取りきれず敗れた。 「あそこで楽しんでやれる経験の量が大事なのかなと思った。優勝したフランスのヌガペト選手もそうですけど、(相手は)五輪の舞台を楽しんで、余裕を持ってやれていた。自分はそういうシチュエーションが来た時に、しっかり勝ち取っていく、ミスを恐れずにやっていける自信をつけていくことが、4年後の(ロサンゼルス)五輪でも重要になってくるのかなと思う」 -サントリーにはポーランド代表のシリフカ選手も加入。ポジション争いをすることになる。 「シリフカ選手は、外国人選手にしてはそこまで大きくないけれど、その中でも左利きだったり、テクニックがある。(代表戦で)僕も対戦しましたけど、パワフルというよりも、うまさで点を取ってくるっていう選手。プレースタイルで言うと非常に自分と似てる部分は多い。ただ、僕自身イタリアリーグでスタメンを争う環境だった。スタメン争いが難しくなるのは、チームのレベルが上がっていくにも非常に重要なこと。自分も常に先発でいられる保証はない。シリフカ選手が(状態を上げて)帰ってくるとアウトサイドの中でも激しい戦いが始まる。勝ち残っていくためにも、プレッシャーを感じながらやっていきたい」 -イタリアと日本の違いを感じることは。 「日本はケアの環境や、融通が利く部分が整っている部分は非常にいいなと思う。日本の方々にすごく注目して見ていただけるっていう部分もある。海外リーグだと少し気が楽な部分もあったけど、日本では責任や重圧も少しある」 -日本でのプレーを選んだ理由は。 「一番は自分のため。成長できる環境で、新しい経験をしたいという思いで帰ってきました。イタリアでやるか、日本でやるかはそこまで重要じゃない。成長できるかは自分次第。レベルの高いチームでやっていきたいと1年1年考えている。次の五輪も考えて、新しい経験に挑戦していくことを踏まえてサントリーに決めた」 -プロ選手としてタイトルへの思いは強い。 「やっぱりそこが最終的なチームの目標だし、自分もそのためにやっている。SVリーグ1年目で日本一を取りたい」 -大阪には、大阪ブルテオン、日本製鉄堺ブレイザーズと3チームがそろう。特にブルテオンは昨季、サントリーと優勝争いをしたチームだ。 「地元の関西が盛り上がってくれるのは嬉しいし、ブルテオンとの開幕戦も地上波で放送され、たくさんの方々に届けられることが非常に嬉しい。面白いバレーを見せる必要があるし、その相手が西田(有志)選手たちブルオテンなのは非常にいいこと」 -兄の高橋塁選手とも東山高以来の同じチーム。 「本当に久しぶり。もちろん兄として立場もあるけれど、1人のバレー選手としてお互い自立をしているし、切磋琢磨し合える存在と感じている。やっぱり兄弟でタイトルを取る瞬間は最高だと思うし、そのためにも頑張りたい」