『小杉放菴展』八王子市夢美術館で 油彩画で名を馳せた画家が描いた日本画にスポットを当て紹介
2024年11月16日(土)より、八王子市夢美術館では、明治末から昭和にかけて活躍した日光出身の画家、小杉放菴(こすぎ・ほうあん/1881-1964)の幅広い画業を紹介する『小杉放菴展』を開催する。小杉放菴記念日光美術館の所蔵品を中心とした同展は、小杉放菴の没後60年とともに、八王子市と姉妹都市盟約を結ぶ日光市及び苫小牧市との盟約50周年を記念して開催される展覧会だ。 【全ての画像】《黄初平》ほか広報用画像(全9枚) 明治14年、日光に生まれた放菴は、地元の洋画家・五百城文哉(いおき・ぶんさい)に師事したのち、上京して、小山正太郎が主宰する不同舎に学んだ。この頃の号は「未醒」といい、漫画や挿絵の世界で活躍。雑誌特派員として日露戦争にも従軍した。その後は文部省美術展覧会(文展)に油彩画を出品し、3年連続受賞して画壇に認められフランスに留学。帰国後は親友の横山大観に誘われて再興日本美術院の洋画部設立に尽力し、他方、東京大学、安田講堂の壁画などの代表作も制作した。 このように近代洋画の大家として活躍した未醒だが、大正12年頃に雅号を放庵(1933年末から「放菴」)と改め、次第に水墨と淡彩による表現に関心を深めていく。さらに日本画の世界でも独自の境地を切り拓いた。洋画家である彼が描いた日本画とは、江戸時代後期より盛んに描かれた中国由来の「南画」の系譜に、近代的な感覚を取り入れた「新南画」に位置づけられる。自由な精神と表現性が見られるこの新時代の「南画」は、大正から昭和にかけて、多くの画家が試みた。 同展では、放菴の日本画家としての側面にスポットを当て、「南画の印象派」ともいわれる彼の芸術の魅力を紹介する。この他、放菴と同時代の画家が日光の社寺や風景を描いた水彩画も展示する。 <開催概要> 『姉妹都市盟約50周年記念事業 小杉放菴展 小杉放菴記念日光美術館の所蔵作品を中心に』 会期:11月16日(土)~1月26日(日) 会場:八王子市夢美術館