<インド その6~スピリチュアルなビジネスマン(その2)>-高橋邦典
ラムデブは、インドの伝統的医学であるアーユルベーダの師でもあり、それをもとにした日用品を製造・販売するビジネスマンとしての顔も持つ。 2006年に彼がパートナーと創業したブランド「パタンジャリ」は、自然薬は勿論、石鹸や歯磨きからビスケット、乾燥麺に至るまで年々品数を増やし、いまやその数は800以上。化学物質を使わないから体にも優しいし、品質も高い。おまけにすでに知名度の高いラムデブの商品だから、宣伝費がかからずに、他社の商品に比べ割安だ。
ちなみに僕自身もインドに滞在中はパタンジャリの歯磨きペーストを愛用していた。茶色なのではじめは違和感を感じるが、他社の人工的なミント味とは違った、薬草によるすっきり感が病みつきになるのだ。 国内2万以上の店舗で商品を販売し、拡大し続けるパタンジャリは、近い将来、インド国内でコルゲートやマギーなどの大手外国資本を凌ぐだろうともいわれている。パタンジャリの躍進はモディ首相の「メイク・イン・インディア(インドでものづくりを)」政策とも見事に合致した。 「外国企業は添加物だらけの製品を売り、インド人を騙している。私たちの製品はインド人のルーツに根づいているのだ」 ラムデブの鼻息は荒い。この「スピリチュアルなビジネスマン」の勢いは当分衰えることはなさそうだ。 (2016年2月撮影)