ソフトバンクをはじめ、複数球団が1位候補に挙げる関大の左腕・金丸は、関学大を相手に1回無安打無失点の好投で学生としてのラスト登板を締めくくった

　ソフトバンクをはじめ、複数球団がドラフト1位候補に挙げ、指名での競合は必至の最速154キロサウスポー、関大・金丸夢斗投手(21)が22日、学生として最後のマウンドに立った。 ■柴田獅子、中村優斗…有力選手の詳細情報満載！【ドラフト候補一覧】 　関西学生リーグの関学大戦4回戦（わかさスタジアム京都）の8回、4番手として登板すると、最速は143キロ止まりながら、2つの三ゴロと一飛、学生最後の登板をわずか11球、きれいに三者凡退で締めくくると「気持ちよかったです」―。 　兵庫・神港橘高時代は、いわゆる〝コロナ世代〟で3年夏は甲子園大会が開催されず、県での独自大会で8強止まり。決して目立った存在ではなかったが、関大では1年秋からリーグ戦に登板するなど、早くから台頭。リーグ戦18連勝を含む通算20勝3敗の好成績を挙げ、リーグ優勝も3度。今春リーグ戦の関学大戦で腰の骨挫傷を発症した影響で、将来を見据えて大事を取った今秋は、登板10試合すべてがリリーフとなったが、計15イニングで無失点。昨年秋の立命大戦3回戦から続いていた連続自責0は「72イニング」まで更新。つまり、学生最後の1年となった今季を自責点0、防御率0.00という有終の美で飾り「もちろん、点を取られないというところが一番、ピッチャーとして必要なところなんで、そこがしっかりとこの1年間できたというところは、調子がいい、悪いがあっても、点を取られなかったというのが、ホントによかったと思います」と満足げに振り返った。 　そして「あまり実感がないんですけど…」。自らの将来を大きく左右する「ドラフト会議」が、まさしく目前の24日に迫ってきた中、改めて金丸は「12球団OK」の方針を明言。「次のステージで、さらに日の丸を背負って戦うことであったりとか、どこに行くのかは分からないですけど、その球団でしっかりと勝利に貢献して、日本一を取れるような、そういった野球人生にしていきたい。ご縁があった球団に入って、尽くそうというふうに思っています」と決意。この日も視察に訪れた中日をはじめ、地元の阪神やオリックス、ヤクルト、巨人の在京球団も食指を伸ばすなど、指名の競合は間違いない状況だが「多ければ多いほど、いい評価をしてもらえているなということなので、そこは楽しみに、というのはあります」。 　この金丸争奪戦に、果たしてソフトバンクは参戦してくるのか。今月14日の関学大3回戦（大阪・南港中央）を視察した稲嶺誉スカウトは、その4日後の18日に大阪の関大グラウンドを訪問、金丸の練習をじっくりと〝最終視察〟したことも明らかになった。その熱意こそ、まさしく高評価の表れ、1位指名を本気で検討しているという証明でもあるだろう。 　ただ今回のドラフトは、金丸をはじめ、広島が既に1位指名の方針を明らかにしている明大の遊撃手・宗山塁、愛工大の右腕・中村優斗らの大学生に指名が集中する可能性があり、外れた球団同士でさらに外れ1位が競合する可能性が高いとみられている。あまり考えたくはない事態だが、その外れ1位でも交渉権を獲得できないとなると、ソフトバンクの場合、ウエーバー順となる2巡目の指名は、全体23番目となり、3巡目も同26番目。競合覚悟の金丸指名は1位で〝2度外れ〟のリスクが伴うだけに、そうなると2巡目以降の指名にも、大きく影響してしまう。そこでソフトバンクは、他球団の動向を見据え、指名シミュレーションを慎重に繰り返した上で、競合覚悟か、それとも素材重視で高校生の一本釣りに乗り出すか、最後まで検討を重ねる方針だという。 　その〝恋人候補〟の金丸は「今まで目指してきたところは、ドラフト1位で指名されること。そこはしっかりと、最後まで目標を果たせるように、もう一度気を引き締めながら（ドラフトまでの日々を）過ごしていきたいと思います」。心身ともに充実の度を高めてきた即戦力左腕を、果たしてソフトバンクは取りに行くのか、それとも別の選択になるのか。その〝鷹の動向〟は、実に興味深いところだ。