ECBカザークス氏、インフレ収束と断定は時期尚早-利下げ方向でも
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁は、ECBが6月の利下げ開始に向かっているとしてもユーロ圏のインフレが収束したと断定するのはまだ早いとの認識を示した。
同総裁は国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合のため訪れているワシントンでインタビューに応じ、米国が現在経験しているような予想を上回る物価上昇のリスクは「ゲームの一部だ」と述べ、「危機を脱したと私が言っていない理由がそれだ。慎重であり続けなければならない。サイクルの途中で利上げを開始すれば非常に厄介になる」と説明した。
ECBは現在のインフレ鈍化傾向が続けば、6月に利下げする可能性があると示唆。カザークス総裁は金融緩和について「一貫した、データに基づく」アプローチをとるよう促し、経済活動を抑制しなくなるレベルまで金利を「急いで」引き下げる必要はないと語った。
「経済は強くないが、信頼感は向上しているようだ。われわれは危機モードにあるわけではない」と話した。
物価上昇圧力が続いている米国で米連邦準備制度が利下げを先送りすることになれば、ECBも影響を受けるとの見方もある。ECB政策委メンバーの1人、ホルツマン・オーストリア中銀総裁はそうしたシナリオの場合、ECBが米連邦準備制度から大きく離れていくことは難しいとの考えを示した。
カザークス総裁はECBが政策を決定する際に考慮しなければならない欧米の経済に結び付きがあることを認めた上で、「もちろん、われわれは同じ地球上に生きている。経済はつながっており、特に金融市場はそうだ。それはわれわれが決定する仕方にも関係してくるだろう。しかし、われわれの使命はユーロ圏の物価安定だ」と述べた。
原題:ECB’s Kazaks Says It’s Too Soon to Declare Inflation Victory (抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Alexander Weber, Mark Schroers