「35歳以上はNG」清掃員求人に中国で沸く怒りの声 「35歳の壁」「学歴」全人代で印象に残る言葉
中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第2回会議が3月11日に閉幕した。 【写真】11日に閉幕した全人代。著名な経営者からは、多くの印象的なコメントがあった 全人代は同時期に開催される国政助言機関の全国政治協商会議(政協)と合わせて「両会」と呼ばれ、両会メンバーには多くの経営者や専門家が名を連ねる。 全国の著名経営者が北京に集まる両会は、メディアにとって経済や企業の今の課題に対する見解を直接取材できる貴重な機会でもあり、国民も注視する。今年は厳しい雇用情勢を背景に、「就職」「転職」に関する発言が注目を浴びた。
■清掃員求人「35歳以下」に絶望… 「求人の応募条件を『35歳以下』に限定することは雇用側の認知エラーだ」「まず公務員試験から35歳の年齢制限を撤廃せよ」 職探しでの「35歳の壁」を「差別」と断じ大喝采を浴びたのは、四川省で法律事務所を経営する李正国氏(政協委員)だ。 日本も今のような人手不足になる前は「35歳転職上限説」があったが、中国も同様で「求人情報を見ると、『35歳以下』はテンプレートのように記載されている」(上海在住の大学院生)。性別はもちろん、「容姿端麗」「身長〇センチ以上」などルックスへの言及も珍しくない。
昨年10月には広東省の企業が清掃員募集で「35歳以下、身長158センチ以上、女性」と条件を付け、SNSで「35歳以上はホームレスになるしかない」と悲鳴が上がった。 李正国氏は企業が求人で年齢制限を設けることについて「IT企業などは長時間労働が常態化しており、若いほうが耐えられるし賃金も安く済むと考えがちだが大きな間違いだ。中国は人口ボーナスの恩恵を受け、労働者が有り余っていたので雇用側が強いが、今後は労働人口が減るのでこれでは立ち行かなくなる」と警鐘を鳴らした。
そのうえで、まず社会への影響が大きい公務員採用から35歳の年齢制限を撤廃し、求人で差別的な条件を設けることを取り締まる制度を導入すべきだと主張した。 「35歳の壁」については、学術界からも是正を求める訴えがあった。復旦大学数学科学学院の郭坤宇教授(政協委員)は研究者の国家プロジェクトの申請条件に35歳の年齢制限が設けられていることが多いと指摘。研究者の焦りにつながり、腰を据えて取り組むべき基礎研究の妨げになっているほか、女性研究者が結婚や出産を遅らせ「少子化」も招いていると見直しを求めた。