29得点で難敵撃破も島根の安藤誓哉に満足感はなし「明日インテンシティを上げてくる相手にどこまでできるのか、それが本当の勝負」
「レギュラーシーズン60試合が終わった時、どれだけ成長できているのか」
バイウィーク中、どんな部分にフォーカスしていたかを聞くと、安藤は「僕らのスタイルはもっとペースを上げて、全員が攻め気で行く。そこに対する認識をあらためました」と自分たちの武器を見つめ直す原点回帰が一番と語った。 その意味で今日の島根は内容においても理想的だった。しかし、安藤に満足感はなく、大事なのは明日の第2戦に、どんなプレーを見せることができるかと強調する。「今日、1勝できたことは勝率の部分でホッとしました。ただ、明日アルバルクはさらにインテンシティを上げてきます。その相手に対して僕らがどれだけできるのか、それが本当の勝負だと思います」 こう安藤が考えているのは、2戦先勝方式のチャンピオンシップ(CS)を見据えているからだ。もちろん地区優勝など、より上の順位でCSに臨むことは理想だが、レギュラーシーズンでしっかりとチーム力を高め、上昇気流に乗ってポストシーズンを迎えることが何よりも重要だと言う。 「レギュラーシーズン60試合が終わった時、どれだけ成長できているのか。リーグ戦からプレーオフの流れなので、それが重要です。現にアルバルクでワイルドカードから優勝した経験があります。当時を思い出しても、バイウィーク中にしっかり準備をして、最後に勝てる自信、モチベーション、勢いがあったと感じます。同じようには行かないとは思いますが、そこは意識しています」 この成長の部分で言うと、この試合ではハッサン・マーティンの攻守にわたるインパクトは大きかった。チーム加入1年目でシーズン前半戦は噛み合うのに苦労していた印象もあるマーティンだが、本日は9得点2リバウンドに加え3ブロックと、ゴール下でA東京に重圧を与えた。 安藤はマーティンの実力に疑いの余地はなく、いかに周囲との連携を磨けるかだけと信頼を寄せる。「オフェンスもディフェンスもすごい良くなっているというのではなく、フィットしてきた印象です。(欧州最高峰の)ユーローリーグでプレーしていた選手ですし、しっかりアジャストしてもらったら今日みたいなプレーができます」 これで島根は23勝17敗。CS圏内ではあるが、「ちょっと今までが悪すぎました。やれることはもっとありますし、もっと自信を持ってやらないといけないです」と安藤が言うように、過去2シーズンに比べると勝率は最も低い。それでも、安藤は島根がもっと高みに行けるチームだと信じており、今日はそれを証明するパフォーマンスだった。
鈴木栄一