<速報>19歳田中が判定勝利! プロ5戦の日本最速世界王者誕生!
WBO世界ミニマム級王座決定戦が30日、愛知県小牧市のパークアリーナ小牧で行われ、同級2位の田中恒成(19歳、畑中)が、同級1位のフリアン・イエドラス(27歳、メキシコ)を3-0の判定で下して、プロ5戦目という日本最速記録で世界ベルトを腰に巻いた。これまでの日本最速世界王座奪取記録は、井上尚弥(大橋)のプロ6戦目だった。岐阜出身の世界王者は初。 田中は、スタートからスピードで圧倒。左の速いフックでリズムをつかみ1回に右アッパーを打ち込んだ。2回には、右左からガードを破って右ストレートがヒット。イエドラスはぐらついてロープまで下がる。田中は、常に足を使いながら、相手が攻撃に転じると、そこにいない。19歳とは思えぬ絶妙のボディコントロールだ。5回には、ロープ際の至近距離で壮絶な打ち合いになったが、ここでも、田中が圧倒。連打を浴びせて、イエドラスがのけぞるシーンも。しかし、6回には、イエドラスが、再び接近戦を挑み、ショートの連打をもらって田中が逆に苦しむ。このラウンドはイエドラスの優位。一進一退の展開から試合は終盤へ。 イエドラスは、頭をつけた距離からのショートの連打に勝機を見出そうとするが、田中は、冷静にうまく距離を保ちながら、パンチをまとめて、ポイントを重ねていく。 最終回もイエドラスが果敢に出てくるが、田中は足を使い、カウンターを狙いながら応戦。トリッキーなフェイントで幻惑させながら、コンビネーションを浴びせて、試合終了のゴング。田中は両手をあげて勝利を確信したかのようにコーナーに帰った。 判定は、一人が、115-113、2人が、117-111で田中を支持。リング上で田中は、淡々とした表情で、勝利をかみ締めた。 「世界チャンピオンになったとき、リングからどんな景色が見えるかと楽しみにしていたが、目が悪くてみえなかった(笑)。思ったとおり、メンタルとの戦いでした。上回ったかわからないですけどね、疲れた。皆さんの応援が力になりました。皆さんのおかげと、僕のおかげです。実力的にも、まだまだです。課題もたくさん出たが、みなさんと一緒にベルトを勝ち取れたことがうれしい」 19歳の田中は、岐阜・中京高校時代に51戦46勝5敗の成績で高校4冠を達成したアマエリート。井上尚弥の弟で、7月に東洋タイトル戦を行う井上拓真(大橋)とはアマ時代に5度対戦し、3勝2敗の対戦成績を残している。プロからアマの壁をのりこえ、教職免許をとって同校監督になった世界挑戦経験のある石原英康の指導を受けて、ボクシングの基礎を叩き込まれ、父の斉さんとの二人三脚で、高校在学中の2013年11月に世界ランカーを相手にB級デビュー。昨年10月には、プロ4戦目で、原隆二(大橋)の持つ東洋太平洋ミニマム級タイトルも奪取。規格外の超新星ボクサーとして19歳で頂点へのぼりつめた。すでにIBF世界同級王者、高山勝成(32歳、仲里)との統一戦の話が浮上している。