今永昇太が求める「正解」と答え合わせの日々
この言葉の数々が出てくるのは、常日頃から、考えや思いを言語化しているから違いない。カブスの今永昇太投手(30)は7月15日に行われたオールスター戦選出の全選手会見で“今永節”を炸裂させ、雄弁に語った。
「僕の好きな言葉があるんですけども『魔物は天下に住んでいる』っていう言葉がある。調子が良かったりとか、こうやってメディアの方に囲んでもらったりとか、有頂天になったときに、そこに悪いものがいるというか、僕はそういうふうに考えている。こういうふうに(注目を浴びる場)なればなるほど、地に足つけてやっていこうかなって感じですね」
好事魔多し、とことわざにあるように晴れの場であえて自戒を込めて語った。日本球界に在籍していた昨季以前から「投げる哲学者」や「今永先生」とニックネームがつくのも納得だ。注目を浴びるオールスターの記者会見の場だから、気の利いたことを言おう、かっこいい言葉で表現しよう、ということを思っていたわけではない。いつも考えているからこそ、とっさの質問にもよどみなく答えられる。
「自分の人生に正解しかないと思うので、僕が下した判断はすべて正解になると自分が証明していく。シカゴ(カブス)に入ったこと、アメリカに来たことは、正解だと思います」
カブスに入団したことは正解だったと思うか?という質問には、そのように即答した。自分によほどの自信がないとそうはいえない…と思ってしまう。いや、自信があってもなかなか言葉にするには躊躇してしまうのが、一般論ではないだろうか。今永はそう心から信じると同時に自分自身への“誓い”の意味合いも込めて、発言しているように思えた。
「スプリングトレーニングの時から米国の打者に対しての高い壁は感じていて、自分が100%の力を出し続けなければ、または100%の力を出しても、もしかしたら通用しないときもあるかなと感じていた」
レベルの高さを痛感しながらも、米国流に適応し、考え方も柔軟に変化させてきた。