遠隔医療センターなどについて説明する福田学長

　弘前大学は1日、青森県弘前市の医学部付属病院に遠隔医療センターを設置した。オンラインで手術ロボットを使った支援を行うなど、同病院の医師が遠隔地に居住する患者のモニターを介したオンライン診療を本格的に実施する。県内の複数の医療機関と連携する予定。福田眞作学長が2日の会見で説明した。 　センターは連携先の医療機関との連絡調整や遠隔医療に関する通信環境の整備、院内教育体制の整備など、遠隔医療全体の管理・運営の中核を担う。スタッフはセンター長1人、副センター長2人、事務職員と技術職員が各1人の計5人。 　遠隔医療を巡っては、これまでも各診療科が主体となって遠隔コミュニケーションアプリを活用した救急搬送体制の整備や、遠隔透析の管理、遠隔放射線治療計画の立案などを行っていた。センター新設により、新たに遠隔で集中治療室（ICU）の重症患者の管理や妊産婦管理、遠隔脳神経外科手術支援、他の医療機関と連携したオンライン診療、画像診断などを行う。 　また、今春配備された国産初の手術支援ロボット「hinotori（ヒノトリ）」による遠隔操作では、手術現場に現地医療機関の医師がいる状態で行い、弘大病院が部分的に支援することを想定している。ヒノトリを使った手術は既に成功しているという。 　福田学長は「最も画期的なのはオンライン診療。例えば遠隔地に住む難病の患者が弘大病院まで来なくてもよくなり、負担を少なくできる。また、弘大病院の医師が診療支援のために遠隔地に行かなくても診療できるので、労務の軽減になる。冬期間の降雪による交通の便を考えると大きなメリット」と述べた。地域の医療機関の専門医不足の解消にもつながると期待される。 　連携医療機関との具体的な取り組み内容など今後公表する。 　弘大では第4期中期目標（2022～27年度）として「遠隔医療の推進」を掲げていた。