地元の味覚に子どもら舌鼓 学校給食「千産千消デー」(千葉県)
千葉県で取れたものを県で消費する「千産千消」を推進しようと県内の小中学校では、旬の食材が多く出回る11月中に「千産千消デー」を設定し、地元産の食材を使った学校給食が献立されている。安房地域の学校でも工夫を凝らした給食が登場し、子どもたちが舌鼓を打った。
鋸南では地元産ウナギ
鋸南町では21日、地元企業「日本DSSフーズ株式会社」(平田康裕社長)の養殖ウナギ「南総里見うなぎ」のひつまぶし風炊き込みご飯が提供された。鋸南幼稚園、鋸南小、鋸南中で、計450食分を提供。子どもたちは心待ちにしていたウナギに大喜び。口いっぱいに頬張り、満面の笑みを見せていた。 同社は、同町下佐久間に養殖場と加工場を構え、年間約7万匹を生産。加工出荷を主に行っている。 「鋸南の食と言ったら何か。考えたときに、ウナギ、とひらめいた」と話すのは、仕掛け人の栄養教諭、小安亜季さん。1食270~300円と定められている予算面も考慮し、献立は、ウナギの加工の際に切り落とす首のまわりと尾の部分を使った、ひつまぶしを提案すると、同社が快く承諾。当該部分を1センチ幅に加工し、約8キロを提供した。
「きょうはウナギが出る」と楽しみに登校してきた子どもたち。小学2年生は、配膳のときから「ウナギって高いんでしょ」「初めて食べる」と目を輝かせていた。いただきますと言って食べ始めると「おいしい」と歓声が上がった。岡村理樹さんは「天国みたいにおいしい。給食のご飯のおかわりは一回もしたことなかったけど、きょうはしたい」と、地元の高級食材を堪能していた。 当日は平田社長も来校。喜ぶ子どもたちの姿に目を細め「地元の人に食べてもらえるのが一番うれしい。子どもたちであればなおさら。今後も定期的に行っていきたい」と話した。
館山では郷土料理「ごんじゅう」
館山市では22日、祭りなどで振る舞われる郷土料理「ごんじゅう」が、市内の小中学校などで一斉に提供された。吉田商店(同市宮城)の香り高いかつお節と、相川商店(同市北条)の豚肉を甘辛く炒めた具材が入った混ぜご飯で、地元食材と郷土料理の味を一度に楽しんだ。 市学校給食センターの栄養士らは、館山の郷土料理でありながら、あまり知られていないごんじゅうを味わってほしいと、本来は「おにぎり」であるものを「どうにか学校給食で提供できないか」と試行錯誤。具材と米飯を別々に提供し、混ぜる調理工程も楽しんでもらいつつ、ごんじゅうの味に親しんでもらうことにした。 北条小3年3組の教室では、市学校給食センター職員の渡邊侑子さんが訪れ、この日の給食について説明した。かつてはお供え物で、手を合わせる姿などから「5(本の指)と5(本の指)で10、『ごんじゅう』と呼ばれるようになった」と話すと、子どもたちや教員からは感嘆の声。渡邊さんは「よく混ぜて、きょうは握らないけど、家で作ってみて」と呼び掛けた。 子どもたちは米飯と具材を混ぜて、口いっぱいに頬張ると「おいしい!」「もう食べ終わっちゃった」と、ごんじゅうを楽しんだ。 明石陽太さんは「お祭りで食べたことがある。祭りではおいしいからいくつも食べてしまうんだ。家でおにぎりにしてみたい」と笑顔だった。